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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

東京自叙伝

『東京自叙伝』
奥泉光



舞台は東京。地中に潜む「地霊」が、歴史の暗黒面を生きたネズミや
人間に憑依して、自らの来歴を軽妙洒脱に語り出す。唯一無二の原理は
「なるようにしかならぬ」。明治維新、第二次世界大戦、バブル崩壊
から福島第一原発事故まで…首都・東京に暗躍した、「地霊」の無責任
一代記!史実の裏側で滅亡へ向かう東京を予言する。
果てしないスケールで描かれた第50回谷崎潤一郎賞受賞作。


東京の「地霊」がそれぞれの年代で乗り移った人物の行き様を語る、
というスタイルです。時代は幕末から正に今まで。
この「地霊」は基本的には多数の鼠や生物に憑いているが、
時折人間にその意識の集合体が憑依するようで、
本作では六人の人物としてその人生を語ります。
面白い事にその意識は同時に複数の人物と共有されていたり
鼠と人間同時に憑依していたりする。

さてこの六人ですが悪いやつらばかりで
ここで語られるエピソードも悪どいものが多いのですが、
”彼には気の毒な事をしました”
と言って結ぶあたりどうにも可笑しい。
各エピソードが短く、表題もついており読む方は区切りが付きやすく
大変読みやすい。
(会話文もなく改行も少なく余白部分が少ないのですが読みやすい。)

各人物の視点を借りて東京の歴史を描くという試み。
しかも基本的には視点は「地霊」一人。
六人の人間を介するとしても語り口は常に「地霊」のソレ。
やたらと饒舌で悪いこともいけしゃあしゃあと語ります。
ここらへん奥泉さんの特有の文体なのかもしれません。

ラストの人物が語るのは現代なのですが
ここでは東京の未来を暗示するような世紀末的な世界が見え隠れします。
最後、この人物が傷害事件を起こし責任能力を問われる場面で
責任能力は持っているということを言うために今までの語りがあった、
というような構造になっています。
全てこの人物の頭の中の物語だったともとれるエンディングでした。

なんだかわからないが面白くてついつい読んでしまったという
不思議な作品でした。

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