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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

ミステリ珍本全集 十二人の抹殺者

『十二人の抹殺者』
輪堂寺耀
十二人の抹殺者 (ミステリ珍本全集02)
十二人の抹殺者 (ミステリ珍本全集02)

ミステリ珍本全集の第二回配本の本作。
「十二人の抹殺者」と「人間掛軸」収録しています。

今回は「十二人の抹殺者」のみご紹介。
読むのにエネルギーを要し「人間掛軸」まで気力が続かない。

まずは帯の惹句より。

ふたつの屋敷で次々と起こる連続殺人事件に挑む
名探偵・江良利久一の推理!


江良利久一ってエラリー・クイーンのもじりですなあ。

これだけではまだインパクトは弱いですが次がいい。

トリックの大量見本市というべき伝説の本格ミステリ、堂々の復活!

いったい大量見本市とは。派手にやらかしていそうです。

本作は昭和35年に小壺天書房より初版が発行されて以来
ずっと再刊されていなかったという珍品中の珍品です。
それゆえ復刊希望の声も高かったようで
なんと鮎川哲也氏も復刊を出版社に打診していたとのこと。
さらには自作「材木座の殺人」の中にて本書を取り上げています。
そのくらいの熱量のある作品がこの「十二人の抹殺者」で、
鮎川氏がとりあげるくらいなので”本格”探偵小説なのです。

物語は一つの敷地内にある二つの邸宅で起こる連続殺人を描いたもので
この2件は親戚同士という関係です。

章題はこんな感じ

第一章:凶徴の賀状
第二章:渦中の十二人
第三章:第一の惨劇
第四章:三次元の密室
第五章:消えていたストーヴ
第六章:三つの解釈
第七章:怪しい物音
第八章:第二の惨劇
第九章:恐怖の二十分
第十章:強盗殺人鬼の子
第十一章:動機の問題
第十二章:柱時計は何を語る?
第十三章:偽証の藁人形
第十四章:第三の惨劇
第十五章:下駄とスリッパ
第十六章:場所的不連続の詭計
第十七章:江良利の登場
第十八章:第四の惨劇
第十九章:自殺か他殺か?
第二十章:腕時計が語った
第二十一章:容疑者
第二十二章:アリバイの問題
第二十三章:第五の惨劇
第二十四章:二次元の密室
第二十五章:殺人幇助?
第二十六章:生体処理と死体処理
第二十七章:誰が犯人か?
第二十八章:第六の惨劇
第二十九章:超人的犯人
第三十章:四次元の密室
第三十一章:誰が悪魔か?
第三十二章:不吉な誕生日
第三十三章:第七の惨劇
第三十四章:不思議な相似
第三十五章:第八の惨劇
第三十六章:逆密室の殺人
第三十七章:第九の惨劇
第三十八章:他殺的自殺
第三十九章:恐るべき真相
第四十章:告白

ハッタリが効いています。

この作品では敷地内での8つの連続殺人と
それ以外に2つの殺人が行われていますが
8つの連続殺人には

・三次元の密室トリック
・時間的不連続のトリック
・場所的不連続のトリック
・自殺的他殺のトリック
・二次元の密室のトリック
・四次元の密室トリック
・逆密室のトリック
・他殺的自殺的他殺のトリック


という名称が与えられるなどこれもハッタリが効いています。
クラクラしてきますでしょ。

主に密室と雪上の足跡に関するトリックですが
図解がないのでちょっとわかりにくい。
何しろ延々とトリック解説を江良利久一が語っていますが
語り口が無味乾燥でメリハリがないので頭に入ってこない。
実は地の部分も同様にメリハリがないためついつい読み飛ばしてしまい
慌てて読み返すことも多かったです。

推理といえば各事件発生早々に刑事と江良利で推理を述べ合い
江良利がトリック解明を行いますが、それが正しいのかどうか
作中ではっきりしないまま次の事件が発生します。
(真犯人を指摘した後、おさらいのようにトリック説明が
これまた無味乾燥に記述されていました。江良利が正しかった)

しかし物理トリック、アリバイトリックを大量に導入し
真犯人の位置づけとしては横溝正史的な設定もあり
必ずや探偵小説ファンは虜になると思います。
今回私は読み飛ばしが多かったですがかなりフェアな本格だと思います。

見取り図、トリック解明図をつけ是非文庫化してほしいものです。
私ごときがいうのもなんですがもっと知られていい作品です。
もしかしたら霧舎巧さんあたりは
この過剰な本格指向に影響を受けているのではないでしょうか。

******************************
とここまで書いて「人間掛軸」も読みたくなり読んでしまいました。

こちらも同趣向で
同一敷地内でのとある一族に起こる連続殺人事件です。

こちらはすべて
絞首し掛軸の釣具にその遺体がつり下げられていて(だから人間掛軸)
しかもその家は密室状態で逃亡経路がないというもの。

読んだそばから思い出せませんが
これが数日かあるいは一日で発生しています。
(数も思い出せないくらい人はたくさん死んでいます)

こちらも江良利久一が登場しますが
「十二人の抹殺者」と同じく
事件に関与してからも
一向に犯罪を防ぐ事が出来ません。

ここらへんは金田一耕助タイプの探偵のようです。

搬出経路についてはそのトリックについては期待しましたが、
結局禁断のアレでした。
ただしそれだけで終わらせず、いろいろこねくり回しています。
やはり本作も読み飛ばしてしまったところが多く
伏線回収を読む楽しみが減ってしまったのですが面白かった。

どちらの作品も
犯罪者の子供はその資質を受け継ぐ、という考え方を
警察側、探偵側に語らせ、それをかなり執拗に繰り返し記述しています。
ちょっと違和感を感じる部分ではありました。

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コメント

「ミステリ珍本全集」はあまりに珍本過ぎて手が出ません(笑)

でも塚本邦雄「十二神将変」が出たら買ってしまうかもなあ……。

URL | ポール・ブリッツ #0MyT0dLg
2017/07/07 20:20 * edit *

Re: タイトルなし

ポール・ブリッツさん
こんばんは

全く知りませんでしたので調べてみましたら・・・

一般的な作品ではないようですが
レビュー記事を書く方の熱度は高いものがありました。
(その評や作品の味はクールなもののよんですが)

なかなかブックオフにはでてこないかもしれませんが
ご紹介いただいたおかげで無意識に目に飛び込んでくる可能性ありです。

URL | 面白半分 #-
2017/07/07 23:41 * edit *
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