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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

ミステリー・アリーナ

『ミステリー・アリーナ』
深水黎一郎
ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)
ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)

麻耶雄嵩 『神様ゲーム』を読んであまりのミステリの進化に驚き、ここ
は今一度エラリー・クイーンに戻ろう、と思っていたのですが、先にま
たとんでもないのを読んでしまいました。


全編伏線ともいえる「閉ざされた館の不可解な連続殺人」の真相を
見抜く。早い者勝ち、「真相」が分かればいつでも解答可能の争奪戦。
もちろん「あなた」も参加OK。強豪たちがつぎつぎ退場していくなか、
その裏で、何かが始まっていた…
ベストセラー『最後のトリック』の著者があなたに挑む多重解決の極北!


まず一般的なミステリとして話は進みますが、2章が終わった時点で今
までの物語はテレビ番組《ミステリー・アリーナ》で出題された問題篇
であることがわかります。ここからは解答者による早い者勝ちの推理合
戦となっていきます。本書の構成はこの問題篇と推理篇が交互にでてく
るスタイルとなっています。

ほぼ何も情報が得られていない時点での第一回答者(自称プロのミステ
リー読み)の推理は問題篇での記述者”俺”が犯人と推理します。
これでわかるように問題篇の叙述から犯人を推理していき、以降の解答
者もすべて叙述から推理をしていきます。本書の紹介文にある”全編伏
線”は伊達ではないのでした。

14人の解答者による14通りの推理。ミステリで言うところの多重解決を
突き詰めたかのような作品でこれは本格ミステリのパロディともいえる
もので解決篇はかなり笑える要素が入っています。
本格ミステリファンなら、そうそうそんな叙述トリックがあるんだよな、
と別の意味で楽しめますが、本格ミステリや叙述トリックへの関心がな
い読者にとっては何いおうとしているのかぜんぜんわからない作品にな
っていそうです。(そんな人はまあ本書を手に取らないんでしょうが)

さて多重解決ですが本書はこの多重解決を作り出すシステムについても
大きな仕掛けが隠されておりここもまた驚いた場面のひとつです。

解決篇で芥川龍之介の『藪の中』(登場人物の視点により真相が変わる
という状況を描く名作)を引き合いに出し、以降の純文学ならこれをち
ょっと応用したものであればつまらなくても評価されるが、ミステリでは
もはや相手にされない、旨を登場人物に言わせているのも面白い。

とにかく面白い作品でした。
しかし現代本格ミステリはどうなっていくんだろう。

では次こそエラリー・クイーンを読みます。

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