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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

ツングース特命隊

『ツングース特命隊』
山田正紀
ツングース特命隊 (講談社文庫)


1908年、中央シベリアの奥地ツングースで、謎の大爆発が発生。
日本軍謀略戦の総帥明石大佐から、この謎の解明をせよとの密命を受けた
武藤淳平たちは、さまざまな試練を乗り越え、“地獄”の地シベリアへ
たどりついた。だが、彼らを待ち受けていたものは、怪憎ラスプーチンや
妖術師グルジェフたちの恐るべき陰謀だったのだ…。
秘境冒険小説の傑作。


えーと、確かツングースの大爆発って史実だよなと、
今検索していたらツングースでなくツングースカ。
ずっとツングースだと思っていたのに。

さて本作はこのツングースの爆発を日本軍の依頼で調査することになった
男たちの冒険小説です。
まず、日本軍が絡むあたりからハードボイルドや諜報冒険小説っぽい味が
ありここらへんは山田正紀、まったくもって巧い。
一癖も二癖もある男たち。仲間になったものの信じきれない関係性。
リアルな描写についつい惹き込まれます。
そして後半、ツングースの奥地にたどり着いたあたりからは
SF的奇想が入ってきます。
大爆発の要因も推測され、またその目的(とある意思あり)も推測され
このあたりはまさにいつもの山田正紀。

結末があるようでないような食い足りなさがありますが
やはり読むと止まらぬ山田作品でした。

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竜の眠る浜辺

『竜の眠る浜辺』
山田正紀
竜の眠る浜辺 (ハルキ文庫)
竜の眠る浜辺 (ハルキ文庫)


百合ケ浜町が、突然濃い霧に覆われた。
気がつくと、この町からは誰も出られなくなっており、
ティラノサウルスが闊歩する白亜紀の世界へタイムスリップしていた。
町の成り上がり久能直吉と二代目直己、
変わり者でなまけ者の文筆家田代、孤独なタバコ屋のシズ婆さん―
町のさえない人々が、もう一つの世界でファンタジックな青春幻想を抱く
もう一つの人生…。SF長篇の傑作。


SFの設定ではありますがその説明などありません。
なにしろ登場人物で説明できる人など誰もいません。
作者も説明しません。ただただ現象あるのみ。

普通の人々(しかも無気力に生きている人々も含め)の再生の物語
といった内容です。
山田正紀自身愛着ある作品といっているとおり、何か暖かい。

恐竜に戦いを挑むシズ婆さんのネコもいいキャラとなってますなあ。

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屍人の時代

『屍人の時代』
山田正紀
屍人の時代 (ハルキ文庫)
屍人の時代 (ハルキ文庫)

『人喰いの時代』の続編となる2016年の作品。
続編といっても短編集なので特に繋がりがあるわけでは無いようです。

文庫裏表紙の紹介分がスゴイ。

本来発売されることは無かった幻の書籍まさかの発売。
『人喰いの時代』の衝撃再び。


文庫本ですが解説頁がなくこれ以上の状況はわからないのが残念。
ただ収録作1作は2016年にWEB連載で他三作は書き下ろしとの事で
完全に今の山田正紀の作品であるようです。

さて内容は・・・・・・
不可能趣味や異様な雰囲気が溢れていますが、
それらをしっかり回収する山田正紀の本格ミステリそのものです。

1988年の『人喰いの時代』を山田ミステリの最初期の作品とすれば
なんと数十年後またしてもあの妖しいミステリを書いてくれる
というのは大変うれしい。

呪師霊太郎というキャラクターも面白いが
キャラに依存するタイプの作品ではなく構想をひねるのが大変でしょうが
また何作か書いてほしい。

本当に面白かった。

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氷河民族

『氷河民族』
山田正紀

↓私が買ったのは1977年ハヤカワ文庫版ですが。
氷河民族 (角川文庫)

山田正紀初期の作品です。

謎の若い女性とそれに係る事件に関わることになった中年男の物語です。
設定や文体はハードボイルドです。
そしてここに”吸血鬼”を絡めSF的な展開になっていきます。
いわゆる”吸血鬼”がなぜ血を必要とするのか、について
冬眠という考えからある推論を出しています。
今まで読んできた吸血鬼ネタの小説には無かったような説ですが
妙に説得力がありました。

話は国家的陰謀に膨れ上がりますが、
登場人物たちは主人公の敵であれ見方であれこの陰謀のコマでしかなく
そういった悲哀も感じさせてくれる小説でした。

ハードボイルド、SF、そして冒険小説の要素を詰め込んだ
若かりし山田正紀の才気が溢れだしたかのような傑作です。

私が読んだハヤカワ文庫版は『氷河民族』で
後のハルキ文庫版では『流水民族』になったようです。



ある雨の夜、ドライブ中の私は、突然飛び出してきた少女を
はねてしまった。意識を失った少女を車に乗せ、
友人の医師須藤の部屋に運び込み、容体を調べたところ、
彼女は異常に低い体温を持ち、普通の人間では考えられない
血液組成を持っていることが判明した。彼女は人間ではないのだろうか?
『吸血鬼』をテーマに描くSFサスペンスの傑作長篇。


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2017年流行語候補”忖度”という言葉が使われていました。
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襲撃のメロディ

『襲撃のメロディ』
山田正紀
襲撃のメロディ (ハヤカワ文庫 JA 83)
襲撃のメロディ (ハヤカワ文庫 JA 83)

なぜか復刊されていない山田正紀初期の連作短編です。
ハヤカワ文庫版では初版は昭和51年。なかなか古いです。
「襲撃のメロディ」
「幽霊列車」
「最後の襲撃」の三部作です。

あとがきによれば「襲撃のメロディ」は「神狩り」以前に書かれたそう。

テーマは巨大電子頭脳による管理社会と反体制派との闘い、でしょうか。
主人公は
「襲撃のメロディ」では反体制派になった”ぼく”
「幽霊列車」では反体制側に参加するゆすり屋の二人。
そして「最後の襲撃」は巨大電子頭脳そのものが主人公と言えそうです。

巨大電子頭脳による管理社会やテクノロジーの描き方は
SF小説そのものですし、
反体制派の行動は冒険小説やハードボイルドのようでもあります。

つまりは山田正紀のエッセンスが見事につまっています。

老眼の私にはこの古いハヤカワ文庫は文字が小さくて読みにくいのですが
すぐに物語に惹きこまれてしまいました。
スピーディな流れと乾いた感じとしゃれた言い回し。
初めから山田正紀は山田正紀だったんですね。

なぜ復刻しないのか。
本人も楽しみながら書いたとあとがきで書いているくらいです。
よほどのマニアでないと探し出して読むなんてしないでしょう。
もったいない。

どうもラストの流れは当初予定していたものとは異なったらしいです。
この結末こそ山田正紀っぽいのですが
予定していた結末はどうだったのか知りたいところです。

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宝石泥棒

宝石泥棒
山田正紀
宝石泥棒 (ハルキ文庫)
宝石泥棒 (ハルキ文庫)


生きている食糧“視肉”、猿を思わせる怪物“猩猩”、空を飛ぶ魚、
二メートルを超える大グモ…。悪夢のような動植物がはびこる世界で、
守護神が甲虫である戦士ジローは、恋する女、ランへの思いをとげるため
女呪術師ザルアー、“狂人”チャクラとともに「月」を求めて旅立った。
「月」とは何かを知らない三人は「空なる螺旋」を探せと
教えられるのだが…。


なにやらロマンチックな表題ですが、中身は異世界での冒険小説。
その異世界の描写はさすが山田正紀先生。
ヘンな怪物をたくさん出してきます。

主人公ジローはそうとははっきり書かれていないが
割とダメな人間で騒動ごとの元凶です。
そして仲間たちにいつも助けられています。

リアリティがある世界での冒険小説ではないので
なんとなくピンチに巻き込まれなんとなく都合よく助かる・・・・・
これが最後まで続くかと思っていたのですが、
終盤よりSF的展開となり、山田正紀先生得意のテーマへ繋がります。
ここからが俄然面白い。

続編があるようですが
テキトーなジローの異世界冒険譚ならそれほど食指は動かないのですが
SFテーマを重点的に描いているのであれば是非読みたい。

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ロシアン・ルーレット

『ロシアン・ルーレット』
山田正紀
ロシアン・ルーレット
ロシアン・ルーレット


現実と幻が交錯するホラー・サスペンス。
若き刑事が乗ったバスは転落する運命にあった。
だが謎の女が告げる。「いい人間だけが助かる」と。
嵐の中、生者と死者、愛と絶望が交錯する。
妖しく切なくサスペンスフルな、実力派作家の会心作!


強烈!
主人公が感じ取ってしまうバスの乗客たちのダークな人生。
短編としてそれらの人生が語られ、
最後に主人公自身の話も含め物語が広がっていきます。
もうなにがなんだかわからない状態。

まずは乗客たちのエピソードがキツイ。
よこもここまで考えつくなあ、狂気の手前です。
でも止まらない。ここら辺はさすが山田正紀。

ホラー、サスペンス、ミステリ、ハードボイルドを一冊にギュッと
押し込めた作品です。

もしかすると大傑作かもしれない。

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僧正の積木唄

『僧正の積木唄』
山田正紀
僧正の積木唄 (本格ミステリ・マスターズ)
僧正の積木唄 (本格ミステリ・マスターズ)


「僧正殺人事件」が名探偵ファイロ・ヴァンスによって解決されて数年。
事件のあった邸宅を久々に訪れた天才数学者が爆殺され、
現場には忌まわしき「僧正」の署名が…。
全米中に反日感情が渦巻く中、当局は給仕人の日系人を逮捕。
無実の彼を救うため立ちあがったのは、米国滞在中の金田一耕助だった。



ヴァン・ダインの名作『僧正殺人事件』の後日談というかたちで
まず関係者の殺人事件が起こり、お馴染みファイロ・ヴァンス、
マーカム検事、ヒース部長刑事が出てきます。

さらには日本で活躍する前の金田一耕助が登場し事件に立ち向かいます。

『僧正殺人事件』を下敷きにしており、
やはり事前にこちらを読んでいた方が本作も楽しめると思います。
なにしろファイロ・ヴァンスの推理を否定するようなお話なのです。
(『僧正~』の推理の脆弱さはどうも昔から指摘されていたようです)

私は『僧正~』を楽しく読んではいたものの全く中身は思い出せないので
念のため途中でいろいろネットで確認したりしてしまいました。

さて山田版『僧正~』はかなりの大作ですが
ミステリとしてど派手な展開があるわけではなく地味といえば地味。

当時のアメリカの反日感情を描きたかったという事と
横溝正史先生へのオマージュ作品として読むのが正解なのかな。

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本作での金田一耕助はかなり先へ先へと手を打ちすばしっこい。
阿片が効いているときはこうなのでしょうか?
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復活するはわれにあり

『復活するはわれにあり』
山田正紀
復活するはわれにあり
復活するはわれにあり


余命を宣告された、車椅子のワンマン経営者・権藤。
ジエイゾと名乗る者に拉致され、男が所有する大型船「南シナ海号」に
乗船することになった。
船はハイジャックされ、権藤は人質となってしまう。
犯人の背後に蠢く得体の知れない陰謀を感じつつ、超ハイテク車椅子
(サイボイド)と共に果敢に立ち向かう。
海上を舞台とした、著者久々の冒険小説!


2008年から2009年にかけて「小説推理」に連載されたものを
大幅加筆、訂正したとのこと。2013年出版です。
著者自身、久々の冒険小説、ということで気合が入っていたようです。

舞台は現代ですが、超ハイテク車椅子が近未来SFっぽい設定です。
この車椅子と、病気により全身麻痺に近づきつつある主人公だからこそ
の戦いを描く冒険小説となっています。

SF的な設定の部分はなんとなく滑稽に感じるところもありますが
熱い男たちの人物描写はさすが山田正紀さん。
適役だろうがなんだろうが実に魅力的です。
本作では”ねずみ男”的位置づけの稲原がいい!

物語の背景として
金融工学、グローバル資本主義、なんて出てきて
2008年のサブプライムローン危機、リーマン・ショック以降の物語です。

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神曲法廷

神曲法廷
山田正紀
神曲法廷 (講談社文庫)
神曲法廷 (講談社文庫)


一片の金属すら持込むことができない密室状態の中で弁護士が刺殺された
法曹関係者が連続して殺されていく事件の謎を「神の烙印」を押された
検事、佐伯神一郎が追う。すべての真相は異端の建築家が造った
「神宮ドーム」に隠されているのか!?読者を凍てついた神話世界に誘う、
超絶本格推理ただいま開幕。


ダンテの『神曲』をモチーフにした重厚な本格ミステリです。
事件は
金属探知機を通って入った部屋での弁護士刺殺
マスコミが押し寄せる中での別室移動とそこでの判事絞殺
ドーム内での人間消失と密室での被告殺害
と不可能趣味満載の大作です。
そのほかにも細かい謎が随所にあり
かなりとっつきにくい作品ではありますが
ひとたび作品世界に惹きこまれるともう止まりません。

登場人物も異端の建築家、検事、警察官、謎の美少年、精神科医と
多彩でありながら、その他脇役含め、みな重苦しく陰鬱な雰囲気です。

そして主人公佐伯も不安定な精神状態の中、”神”の声に導かれます。

検察と警察の体質についての問題を一方の軸とし
神曲』に取りつかれた建築家の想いとその執念が異様な雰囲気を
醸し出す重厚な作品でした。

一つ目の事件(弁護士刺殺)の解決であるラストはコワい。
ここだけ抜き出せばホラー(超常的なものではなく)です。

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佐伯が作中で「密室トリックなんてどうでもよい」
というような事を言っています。
実は他の不可能犯罪も単発のトリックとしたら結構憤慨モノかも。
でもこの作品では許されてしまうんでしょう。

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