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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

地球・精神分析記録

『地球・精神分析記録』
山田正紀


そのものたちの名は『悲哀』『憎悪』『愛』『狂気』、
神の姿を形どった四体のロボット。
種としての消滅を迎えかけた人類はいにしえよりの神話をモチーフに、
人間を人間たらしめる源―集合的無意識を支えるための偶像として、
世界各地にそのものたちを据えたのだ。
しかし、失った尊厳を取り戻すため、神を殺すべく、
四人の男女が孤独な闘いを開始した。
極寒の地グリーンランド、灼熱のインド、ギリシア、日本…
やがて彼らは悪夢のような真実と出逢う。
ハードでスタイリッシュな、傑作SF長篇。

地球・精神分析記録(エルド・アナリュシス) (徳間デュアル文庫)
↑持っているのはこれでなく徳間文庫版
山田正紀のハードSF。
章立てからしてハードです。

Ⅰ徴候分析 悲哀 ルゲンシウス
Ⅱ既往歴分析 憎悪 オディウス
Ⅲ無意識分析 愛 アモール
Ⅳ連想分析 狂気 インサヌス
Ⅴ総合診断 激情 エモツィオーン

こんな感じ。

途中、
狂っているのは自分なのかこの世界なのか
といった問いがなされている、そんなSFです。

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ラストは読者にその結論を預けるタイプの作品で
もしかすると安倍公房の『人間そっくり』と似ているのかも。
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謀殺の弾丸特急

『謀殺の弾丸特急』
山田正紀
謀殺の弾丸特急 (ノン・ノベル)
謀殺の弾丸特急 (ノン・ノベル)


軍事政権下にある東南アジアの小国アンダカムでは、
今も日本製蒸気機関車C57が現役で活躍する。
今日も日本人ツアー客を隣国タイまで送り届けるはずが、
重要国家機密を巡るトラブルに巻き込まれ…。
旅好きの老婆、元国鉄職員、新婚カップルなど、いわゆる普通の人々が、
最新兵器で重装備するアンダカム国軍にいかにして立ち向かうのか!?
ノンストップ超絶エンターテインメント。


山田正紀の大ボラ冒険小説。(←褒めてます)
東南アジアへのパック旅行中になぜか国家の軍に追われる旅行者達。
旅の企画であった蒸気機関車に乗ってタイまで逃げきれるのか?

普通の人々が事件に巻き込まれていく展開はスピーディで
すぐに物語に引き込まれていきました。
そしてジープ、船、鉄道、攻撃ヘリ!、兵士と
本気で殺しにかかってくる軍隊に対してどう一般人が対応していくのか。
読み始めたら止まらなかったんであります。

映画「ミッション・インポッシブル」にも
こんなシーンあったんではないかというシーンもありました。

先に述べたように大ボラはったりかましているのですが
そこは山田正紀。なんだかそんなもんかと納得させてしまう筆力。

B級なんでしょうがとても面白い。

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物体Ⅹ

『物体Ⅹ』
山田正紀
物体X (ハヤカワ文庫JA)


フリーライターの美奈子が同乗する漁船は濃霧のソ連海域で遭難する。
美奈子ら数名の生存者はソ連軍基地のある海獺島に難をのがれるが、
人影の絶えたその島では、人間の脳を自在に操る恐るべき怪物が猛威を
ふるっていた!表題作ほか
“女が書けない”SF作家Yの悲しみが11代めの子孫に凝縮遺伝して
生まれたスーパー痴漢、怪盗カタツムリ。
彼の象徴と暗喩に満ちた冒険を描く「暗い大陸」
医療コンピュータに管理された未来社会を描く「見えない人間」など、
50年代、60年代、70年代のSF作品、SF映画をイメージして書かれた
中篇三篇を収録


冒険小説テイストもある「物体Ⅹ」
細かい設定を決めずに勢いだけで書いてしまったような感もあり。
ラスト1行の”待った”の意味合いは何なのでしょう。
彼女もまた操られていたという事?

「暗い大陸」・・?

「見えない人間」
医療システムによる管理社会を描いた作品で一番しっくりきました。
経済的理由で管理システムから外れた探偵が主人公。
管理システムの中枢との対立を描きます。

こういってはなんですが
本3作、天才山田正紀にしては・・・・といった感じの短編集でした。

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ツングース特命隊

『ツングース特命隊』
山田正紀
ツングース特命隊 (講談社文庫)


1908年、中央シベリアの奥地ツングースで、謎の大爆発が発生。
日本軍謀略戦の総帥明石大佐から、この謎の解明をせよとの密命を受けた
武藤淳平たちは、さまざまな試練を乗り越え、“地獄”の地シベリアへ
たどりついた。だが、彼らを待ち受けていたものは、怪憎ラスプーチンや
妖術師グルジェフたちの恐るべき陰謀だったのだ…。
秘境冒険小説の傑作。


えーと、確かツングースの大爆発って史実だよなと、
今検索していたらツングースでなくツングースカ。
ずっとツングースだと思っていたのに。

さて本作はこのツングースの爆発を日本軍の依頼で調査することになった
男たちの冒険小説です。
まず、日本軍が絡むあたりからハードボイルドや諜報冒険小説っぽい味が
ありここらへんは山田正紀、まったくもって巧い。
一癖も二癖もある男たち。仲間になったものの信じきれない関係性。
リアルな描写についつい惹き込まれます。
そして後半、ツングースの奥地にたどり着いたあたりからは
SF的奇想が入ってきます。
大爆発の要因も推測され、またその目的(とある意思あり)も推測され
このあたりはまさにいつもの山田正紀。

結末があるようでないような食い足りなさがありますが
やはり読むと止まらぬ山田作品でした。

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竜の眠る浜辺

『竜の眠る浜辺』
山田正紀
竜の眠る浜辺 (ハルキ文庫)
竜の眠る浜辺 (ハルキ文庫)


百合ケ浜町が、突然濃い霧に覆われた。
気がつくと、この町からは誰も出られなくなっており、
ティラノサウルスが闊歩する白亜紀の世界へタイムスリップしていた。
町の成り上がり久能直吉と二代目直己、
変わり者でなまけ者の文筆家田代、孤独なタバコ屋のシズ婆さん―
町のさえない人々が、もう一つの世界でファンタジックな青春幻想を抱く
もう一つの人生…。SF長篇の傑作。


SFの設定ではありますがその説明などありません。
なにしろ登場人物で説明できる人など誰もいません。
作者も説明しません。ただただ現象あるのみ。

普通の人々(しかも無気力に生きている人々も含め)の再生の物語
といった内容です。
山田正紀自身愛着ある作品といっているとおり、何か暖かい。

恐竜に戦いを挑むシズ婆さんのネコもいいキャラとなってますなあ。

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屍人の時代

『屍人の時代』
山田正紀
屍人の時代 (ハルキ文庫)
屍人の時代 (ハルキ文庫)

『人喰いの時代』の続編となる2016年の作品。
続編といっても短編集なので特に繋がりがあるわけでは無いようです。

文庫裏表紙の紹介分がスゴイ。

本来発売されることは無かった幻の書籍まさかの発売。
『人喰いの時代』の衝撃再び。


文庫本ですが解説頁がなくこれ以上の状況はわからないのが残念。
ただ収録作1作は2016年にWEB連載で他三作は書き下ろしとの事で
完全に今の山田正紀の作品であるようです。

さて内容は・・・・・・
不可能趣味や異様な雰囲気が溢れていますが、
それらをしっかり回収する山田正紀の本格ミステリそのものです。

1988年の『人喰いの時代』を山田ミステリの最初期の作品とすれば
なんと数十年後またしてもあの妖しいミステリを書いてくれる
というのは大変うれしい。

呪師霊太郎というキャラクターも面白いが
キャラに依存するタイプの作品ではなく構想をひねるのが大変でしょうが
また何作か書いてほしい。

本当に面白かった。

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氷河民族

『氷河民族』
山田正紀

↓私が買ったのは1977年ハヤカワ文庫版ですが。
氷河民族 (角川文庫)

山田正紀初期の作品です。

謎の若い女性とそれに係る事件に関わることになった中年男の物語です。
設定や文体はハードボイルドです。
そしてここに”吸血鬼”を絡めSF的な展開になっていきます。
いわゆる”吸血鬼”がなぜ血を必要とするのか、について
冬眠という考えからある推論を出しています。
今まで読んできた吸血鬼ネタの小説には無かったような説ですが
妙に説得力がありました。

話は国家的陰謀に膨れ上がりますが、
登場人物たちは主人公の敵であれ見方であれこの陰謀のコマでしかなく
そういった悲哀も感じさせてくれる小説でした。

ハードボイルド、SF、そして冒険小説の要素を詰め込んだ
若かりし山田正紀の才気が溢れだしたかのような傑作です。

私が読んだハヤカワ文庫版は『氷河民族』で
後のハルキ文庫版では『流水民族』になったようです。



ある雨の夜、ドライブ中の私は、突然飛び出してきた少女を
はねてしまった。意識を失った少女を車に乗せ、
友人の医師須藤の部屋に運び込み、容体を調べたところ、
彼女は異常に低い体温を持ち、普通の人間では考えられない
血液組成を持っていることが判明した。彼女は人間ではないのだろうか?
『吸血鬼』をテーマに描くSFサスペンスの傑作長篇。


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2017年流行語候補”忖度”という言葉が使われていました。
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襲撃のメロディ

『襲撃のメロディ』
山田正紀
襲撃のメロディ (ハヤカワ文庫 JA 83)
襲撃のメロディ (ハヤカワ文庫 JA 83)

なぜか復刊されていない山田正紀初期の連作短編です。
ハヤカワ文庫版では初版は昭和51年。なかなか古いです。
「襲撃のメロディ」
「幽霊列車」
「最後の襲撃」の三部作です。

あとがきによれば「襲撃のメロディ」は「神狩り」以前に書かれたそう。

テーマは巨大電子頭脳による管理社会と反体制派との闘い、でしょうか。
主人公は
「襲撃のメロディ」では反体制派になった”ぼく”
「幽霊列車」では反体制側に参加するゆすり屋の二人。
そして「最後の襲撃」は巨大電子頭脳そのものが主人公と言えそうです。

巨大電子頭脳による管理社会やテクノロジーの描き方は
SF小説そのものですし、
反体制派の行動は冒険小説やハードボイルドのようでもあります。

つまりは山田正紀のエッセンスが見事につまっています。

老眼の私にはこの古いハヤカワ文庫は文字が小さくて読みにくいのですが
すぐに物語に惹きこまれてしまいました。
スピーディな流れと乾いた感じとしゃれた言い回し。
初めから山田正紀は山田正紀だったんですね。

なぜ復刻しないのか。
本人も楽しみながら書いたとあとがきで書いているくらいです。
よほどのマニアでないと探し出して読むなんてしないでしょう。
もったいない。

どうもラストの流れは当初予定していたものとは異なったらしいです。
この結末こそ山田正紀っぽいのですが
予定していた結末はどうだったのか知りたいところです。

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宝石泥棒

宝石泥棒
山田正紀
宝石泥棒 (ハルキ文庫)
宝石泥棒 (ハルキ文庫)


生きている食糧“視肉”、猿を思わせる怪物“猩猩”、空を飛ぶ魚、
二メートルを超える大グモ…。悪夢のような動植物がはびこる世界で、
守護神が甲虫である戦士ジローは、恋する女、ランへの思いをとげるため
女呪術師ザルアー、“狂人”チャクラとともに「月」を求めて旅立った。
「月」とは何かを知らない三人は「空なる螺旋」を探せと
教えられるのだが…。


なにやらロマンチックな表題ですが、中身は異世界での冒険小説。
その異世界の描写はさすが山田正紀先生。
ヘンな怪物をたくさん出してきます。

主人公ジローはそうとははっきり書かれていないが
割とダメな人間で騒動ごとの元凶です。
そして仲間たちにいつも助けられています。

リアリティがある世界での冒険小説ではないので
なんとなくピンチに巻き込まれなんとなく都合よく助かる・・・・・
これが最後まで続くかと思っていたのですが、
終盤よりSF的展開となり、山田正紀先生得意のテーマへ繋がります。
ここからが俄然面白い。

続編があるようですが
テキトーなジローの異世界冒険譚ならそれほど食指は動かないのですが
SFテーマを重点的に描いているのであれば是非読みたい。

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ロシアン・ルーレット

『ロシアン・ルーレット』
山田正紀
ロシアン・ルーレット
ロシアン・ルーレット


現実と幻が交錯するホラー・サスペンス。
若き刑事が乗ったバスは転落する運命にあった。
だが謎の女が告げる。「いい人間だけが助かる」と。
嵐の中、生者と死者、愛と絶望が交錯する。
妖しく切なくサスペンスフルな、実力派作家の会心作!


強烈!
主人公が感じ取ってしまうバスの乗客たちのダークな人生。
短編としてそれらの人生が語られ、
最後に主人公自身の話も含め物語が広がっていきます。
もうなにがなんだかわからない状態。

まずは乗客たちのエピソードがキツイ。
よこもここまで考えつくなあ、狂気の手前です。
でも止まらない。ここら辺はさすが山田正紀。

ホラー、サスペンス、ミステリ、ハードボイルドを一冊にギュッと
押し込めた作品です。

もしかすると大傑作かもしれない。

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