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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

せどり男爵数奇譚

『せどり男爵数奇譚』
梶山季之
せどり男爵数奇譚
せどり男爵数奇譚


ある種の人間にとっては、本は魔物だ。
これに魅入られたら、もう逃れようがない。
知られざる古書の世界の内幕と書物に魅入られた人間たちを描く、
超異色ミステリー。


せどりとは古書を転売して利ザヤをかせぐこと。
本の背の部分を見て取る、ところが語源のようですが諸説ありそうです。
本書は『ビブリア古書堂の事件手帖』で取り上げられました。
私もこれで初めて知って以来ずっと気になっていました。
そして古書の町、神保町で3冊500円の中で発見し嬉しかったです。

初出は「オール讀物」昭和四十九年一月号~六月号(1974年)
同年、桃源社より単行本化
私が見つけたのは1995年の夏目書房版です。

↓この装幀がいい。
せどり男爵数奇譚

せどり男爵をあしらったクセのある表紙絵
昔の本っぽい味のある書体
全体のくすみ加減

1995年ですから最近の本ですがもっともっと古い雰囲気があります。

さて内容はせどり男爵こと笠井菊哉が遭遇した古書にまつわる事件を
6話収録しています。

古書につかれた人たちの異様ぶりやせどり師の駆け引きなどが描かれ
とても面白い。皆、怪しくうさん臭い。
最終話は古書でなく装幀家の話だがこれは強烈でした。
なにしろ人間の皮膚を使用した装幀の話。

例えば、ブックオフで安く本を購入して
アマゾンで高く転売することもせどり、と呼ぶし、
彼らを”せどらー”なんて呼んだりしますが
せどりとはそんな軽いものではなーい。

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刺青殺人事件

『刺青殺人事件』
高木彬光
刺青殺人事件 新装版 (光文社文庫)
刺青殺人事件 新装版 (光文社文庫)


野村絹枝の背中に蠢く大蛇の刺青。
艶美な姿に魅了された元軍医・松下研三は、誘われるままに彼女の家に
赴き、鍵の閉まった浴室で女の片腕を目にする。
それは胴体のない密室殺人だった―。謎が謎を呼ぶ事件を解決するため、
怜悧にして華麗なる名探偵・神津恭介が立ち上がる!
江戸川乱歩が絶賛したデビュー作であると同時に、
神津恭介の初登場作。満を持しての復刊!


既読ですが新装版(これに弱い)ということで買いました。

刺青という題材も含め重い雰囲気の作品です。
昭和23年発表という時代の重さもあるんでしょう。

密室、バラバラ殺人、とまさに探偵小説の意匠に溢れています。
なんとなく覚えていた密室のトリック。
推理を披露する登場人物に、トリックはなんとでもなるのでしょうが、
といわせたり、機械トリックを重視していないところが面白い。
この時代にすでにこのような考え方が出来ていたんですね。
機械トリックが破られたのちに作られる心理トリックがポイントです。

後半ようやく神津恭介が登場したあたりから展開も早くなり
最後のお約束の名探偵が推理を披露する場面は圧巻です。

かなり古い作品ですが、やはり古典の傑作というのはいいですなあ。

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崇徳院を追いかけて

『崇徳院を追いかけて』
鯨統一郎
崇徳院を追いかけて (創元推理文庫)
崇徳院を追いかけて (創元推理文庫)


星城大学の研究者早乙女静香は宮田六郎と京都へ旅することになり、
かねて興味を抱いていた崇徳院について調べようとする。
その矢先、宮田の知人である京都在住のジャーナリストが失踪、
静香を敵視していた歴史学者が遺体となって崇徳院ゆかりの白峯神宮で
見つかるなど、二人と接点を持つ人物が奇禍に遭う。
そして知り合ったばかりの社長令嬢も……。
警察に疑惑の目を向けられながら事件を解明すべく奔走する宮田と静香。
歴史上の謎に通じるその真相とは?


大傑作『邪馬台国はどこですか?』での登場人物が活躍します。
このシリーズは歴史の謎や定説を、短編というフォーマットで
サクッと大胆に切り崩していくというものでした。

本作は崇徳院と西行をテーマに長編としたものです。
さらにこれに絡み現代での殺人事件も発生し、
主人公たちのほのかな恋愛模様も描いています。

でも残念ながら従来の短編フォーマットの方が良かったなあ。
短編でのエッセンスを薄めに薄めたような印象でした。

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”解説”は
短編フォーマットでは従来の作品を超えるのは難しいからこその長編化、
というネタに終始しています。
そこを話題にするしか”解説”の書きようがなかったんであろうな。
作品の中身に触れないようにしているようでした。

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開かせていただき光栄です

『開かせていただき光栄です』
皆川博子
開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-4)
開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ文庫 JA ミ 6-4)


18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室から、
あるはずのない屍体が発見された。
四肢を切断された少年と顔を潰された男性。
増える屍体に戸惑うダニエルと弟子たちに、
治安判事は捜査協力を要請する。
だが背後には、詩人志望の少年の辿った稀覯本をめぐる恐るべき運命が…
解剖学が先端科学であると同時に偏見にも晒された時代。
そんな時代の落とし子たちがときに可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む。


第12回本格ミステリ大賞とのことで読みました。
著者は名前は何となく知ってはいましたが読んだことのない方でした。

さてイメージする「本格」ではなかったのが正直な感想なのです。
強烈なトリックだけが本格ではなく、練られたプロットと物語性が
「本格」を構築するんですね。

本作はなにより「物語」です。
シャーロック・ホームズより遡る事、百年前の18世紀ロンドン、という
全く馴染みのない世界が舞台です。
解剖、外科行為が低く見られていた時代において
解剖の重要性を説く医者ダニエルと弟子たちの物語です。

冒頭からこ気味良いユーモラスなやりとりで解剖シーン、主要人物登場、
死体出現、とスピーディに展開します。

ここに別の少年の物語が挟まり、やがて二つの物語がクロスします。

そして治安判事が推理をしていくあたりからミステリ色がでてきます。

「開かせていただき光栄です」(Dilated to meet you)
とは変わった題名ですが、彼らが解剖するにあたっての最初の言葉で
「お目にかかれて光栄です」(Delighted to meet you)
をもじっているという設定です。

ひねった題名ですがいいですね。
「解剖学殺人事件」とかにならなくて本当に良かった。
文庫表紙のイラストも素晴らしい。

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読ませていただき光栄です。
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聖女の毒杯

『聖女の毒杯』
井上真偽
聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)
聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた (講談社ノベルス)


聖女伝説が伝わる地方で結婚式中に発生した、毒殺事件。
それは、同じ盃を回し飲みした八人のうち三人(+犬)だけが殺害される
という不可解なものだった。参列した中国人美女のフーリンと、
才気煥発な少年探偵・八ツ星は事件の捜査に乗り出す。
数多の推理と論理的否定の果て、突然、真犯人の名乗りが!?
青髪の探偵・上苙は、進化した「奇蹟の実在」を証明できるのか?


『その可能性はすでに考えた』の続編であり、
副題にもこの言葉がついています。

細かい事象から延々と続く推理とその反証は、
読んでいて飽きてきそうなものですが、
キャラクターの面白さで救っているようです。
(笠井さんの「青銅の悲劇」はこれがなかった?)
ここまでは少年探偵の推理ですが、
結局犯人が絞れないという状況で真犯人の独白で
この後どうなっていくことやらと引き込まれます。
そして次の章での一風変わった展開に驚きます。
真犯人が別の意味で真相を離せない状況に追い込まれます。

さらに物語は、この事件を犯人のいない「奇蹟」と判断した
主人公の探偵と真犯人や周りの人々との絡み合いがメインとなりますが、
ここでもしつこいくらいの推理と反証合戦になります。

この合戦内容は、読んでいてもう何が何だか分からなくなてくる程の
細かい内容ですが、伏線部分ははっきりと書かれているものが多く
私のように内容を十分に理解できなかった読者でも満足感が得られます。

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続編まだまだ出てきそうですね。
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黒いリボン

『黒いリボン』
仁木悦子
黒いリボン (角川文庫―リバイバルコレクション)
黒いリボン (角川文庫―リバイバルコレクション)


田園調布の国近社長邸で二歳半になる坊やが誘拐された!
ブラック・リボンと名乗るその犯人は子供のいたずらじみた脅迫状で
300万円を要求する!!事件当時たまたま邸を訪れていた仁木悦子は、
身代金を出し渋る父親、婦人の恋の醜聞等々、社長一族の不仲ばかりを
目、耳にする…。灯台もと暗し、犯人は邸のなかにいるのでは!?
“日本のA・クリスティー”こと仁木悦子が卓抜な構想力で読者におくる
「仁木兄妹探偵シリーズ」掉尾を飾る本格推理佳品。


昭和37年の作品です。
地味なんですが本格の骨格はしっかりとしていて
ああアレも伏線だったのかと思い浮かびます。

社会派ではないのでしょうが、
この時代の暗さみたいのがどうしても
にじみ出てくるような感じです。
主人公の悦子嬢は明るいキャラクターですけどね。

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角川文庫リバイバル・コレクションの一冊です。
この「黒いリボン」は第五回配本です。
ここまでで20タイトル出ているようですが見つけたのは3冊目。
ほとんど見かけないのでコンプリートには時間がかかりそうです。

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弁護側の証人

『弁護側の証人』
小泉喜美子
弁護側の証人 (集英社文庫)
弁護側の証人 (集英社文庫)


ヌードダンサーのミミイ・ローイこと漣子は八島財閥の御曹司・杉彦と恋
に落ち、玉の輿に乗った。しかし幸福な新婚生活は長くは続かなかった。
義父である当主・龍之助が何者かに殺害されたのだ。真犯人は誰なのか?
弁護側が召喚した証人をめぐって、生死を賭けた法廷での闘いが始まる。
「弁護側の証人」とは果たして何者なのか?
日本ミステリー史に燦然と輝く伝説の名作がいま甦る。


各種ミステリガイドで名作と位置づけられる作品なので、
ずっと読みたいと思っていた作品ですがなかなか入手できませんでした。
やっと読めた。

どういったタイプのミステリだったかまでは覚えていなかったので
素直に楽しめました。
1963年と50年以上昔の作品ですが、こういったタイプの先駆的な作品
だったんでしょうか。
と、こういう書き方だけでもどういったタイプの作品かわかってしまう
のですよねえ。

念のため序章を読み返しました。
上手いもんですね。

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クリスティの『検察側の証人』は未読です。
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レジまでの推理

『レジまでの推理』
似鳥鶏
レジまでの推理 本屋さんの名探偵
レジまでの推理 本屋さんの名探偵


荷ほどき、付録組み、棚作り、ポップ描きにもちろんレジ。お客さまの
目当ての本を探したら、返本作業に会計、バイトのシフト。万引き犯に
目を光らせて、近刊のゲラを読んで、サイン会の手配をして……。
力仕事でアイディア仕事で客商売。書店員は日夜てんてこ舞い。しかも、
この店の店長は、探偵という特殊業務まで楽しげにこなしてしまうので
す。軽快な筆致の一方、本屋さんが抱える問題にも鋭く切り込む、
本格書店ミステリー。


大崎梢のアンソロジー企画「本屋さんのアンソロジー」収録の1話目が
きっかけとなった本屋さん連作短編ミステリー。
ギャグが面白い、本屋さんの仕事や舞台裏がわかるなど
読みどころは多いです。

最終話ではやはり仕掛けをいれておくあたりにくい。
その本屋で働こうとしたきっかけとなるエピソードが良い。
本好きにはこういうのうれしいです。

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創元推理文庫での似鳥作品積読のままです。そろそろ崩そうか。

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秘密屋文庫 知ってる怪 その他

『秘密屋文庫 知ってる怪』
清涼院流水
秘密屋文庫 知ってる怪 (講談社文庫)
秘密屋文庫 知ってる怪 (講談社文庫)


口裂け女に人面犬…怪しい噂の出処に迫る
口裂け女、人面犬、ベッドの下の斧男——。どこからともなく社会に広まる
“都市伝説”の数々。怪しい噂を支配する深い謎に包まれた存在
「秘密屋」が、本当の姿を現した! 超大物政治家を標的に、
彼が仕掛ける驚くべき計画とは?


ノベルス版で読んでいましたが文庫版で再読。
いかにも清涼院流水ですね。


『確率捜査官 御子柴岳人』
神永学
確率捜査官 御子柴岳人 密室のゲーム (角川文庫)
確率捜査官 御子柴岳人    密室のゲーム (角川文庫)


効率的かつ正確な取り調べ方法の検証を目指し、警視庁世田町署内に新設
された“特殊取調対策班”。取調室で起きた暴行事件が原因で異動させら
れた新米女性刑事・新妻友紀は、常識外れな行動ばかりを繰り返す数学者
・御子柴岳人とペアを組んで取り調べに挑むことになるのだが…。
猫を愛し、アメを頬張る、無邪気でワガママなイケメン数学者の
圧倒的推理力で容疑者の心理に迫る。
前代未聞の取り調べエンターテインメント!



アマゾンレビューでは星2.7でした。そうですよね。
数学ネタや”圧倒的推理力”を期待していたんですが・・・

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ケムール・ミステリー

『ケムール・ミステリー』
谺健二
ケムール・ミステリー (ミステリー・リーグ)
ケムール・ミステリー (ミステリー・リーグ)


ケムール人を生み出した孤高の天才作家、成田亨。
彼に魅せられた男が建てた屋敷は、まさに怪物の異形で覆われていた。
そこで起こる連続密室死。自殺にしか見えないのだったが…
しかしその「ほころび」から浮かび上がってきた全体像は
誰もが予想しえなかった結末とともに崩れ落ちてゆく。


ケムール星人、宇輪、シャドー星人なんていうキーワードが出てきます。
私は疎かったのですがこれらは実存した成田亨さんが造形したもので
ネットで画像検索すれば確認できます。
是非これらを都度確認しつつ読めばより一層本書を楽しめると思います。

というわけで本書は成田亨さんをリスペクトした内容でもあるミステリ。
これらの異様な造形美が異形の館での事件に大きくかかわっています。

なんとも落ち着かない異様な登場人物象に比べ、探偵役やワトソン役に
全く魅力的を感じさせないのは、あくまでも主役は成田亨さんだからなの
でしょうか?

ミステリとしては小物から建物自体を使った密室トリックまで、
細かい伏線に満ちていて面白い内容となっています。

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先日福島へ行ったらケムール人のパッケージの日本酒が売られてました。
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