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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

夢の中へ

『夢の中へ』
山田正紀
夢の中へ (ふしぎ文学館)
夢の中へ (ふしぎ文学館)


しつこい強請屋が、ある日突然死んでしまった。
朝までに危険な証拠をみつけなければ、身の破滅だ。
男は必死で強請屋の足跡を追うが…。
我々が強固な現実と信じて疑わない日常に音高く楔をうちこみ、
直木賞候補となった異色の連作「少女と武者人形」全12話。
ほかに「暗い夜、悲鳴が聞こえる」「旬の味」「カレンダー・ガール」等
単行本未収録の秀作11篇を厳選し、
さらに奇妙な味の傑作「雪のなかのふたり」をくわえた逸品ぞろい。


ふしぎ文学館シリーズの山田正紀作品集です。
この本の中には短編集『少女と武者人形』がまるまる入っています。

「友達はどこにいる」
いきなりやられました。これは心に響く。
ほんの少額5,000円を長期的に恐喝してくる老人。
この老人が主人公の目の前で死んでしまいます。
死んだら友達にあずけた文書が公開される手筈という事で
主人公による友達探しが始まり、
このなかで老人の寂しい生活が浮かび上がってきます。

べつに悪いことをしたわけでもないのに、
いや、悪いことなんてできっこないのに、
どういうわけか世間から忘れられて、
だれひとりとして気にかけてくれる人もなく、
ヒッソリと片隅で生きているお年寄りに・・・・・


いきなり泣ける。


「回転扉」
回転扉をくぐりT-ホテルの中に入るのが成功者。
回転扉にはじき返された若者と過去に回転扉に係ったものたちの話です。
哲学的に語られる回転扉とそれぞれの人生。
深いものがあります。


「ネコのいる風景」
ネコを可愛がっている家に、赤ん坊が授かると、
ネコと赤ん坊で”運”をとりあうのですよ。


「撃たれる男」
殺し屋なのだろうか。撃たれた際に記憶をなくしたようだ。
自分はだれで、また狙っているのは一体誰なのか。
奇妙な余韻を残す作品です。


「ねじおじ」
ずっと競歩をし、ねじで巻かれたようだと揶揄されているねじおじさん。
働かないので実家の牛乳屋をつぶしたらしい。
そんな彼に自分をあわせるやり手のサラリーマン。
悲哀のあるサラリーマン小説です。


「少女と武者人形」
少女、叔母、父、この関係性に破綻が生じそうなとき。
怪奇小説の雰囲気を出していますが、怪異は父から少女が見えなくなる
というもの。いろいろな暗喩があるのでしょうが読み切れませんでした。


「カトマンズ・ラプソディ」
山男と恋人の別れ。こんなのも書くんだ山田正紀。


「遭難」
嵐の中、山道で事故を起こした主人公。
助けをを求めるもなかなか車は止まってくれない。
異様な展開を見せると思いきや結局主人公は助かるが
二度と昔に戻れない自分に気付く


「泣かない子供は」
もうすぐ子供が生まれる男。自分が子供のころの思い出を振り返る。
ホラー的な展開かと思ったが全く違う短編。


「壁の音」
壁の音を聞くと人が死ぬ。これもホラーっぽいタイトルだが違う。
無気力に生きるしかなくなった女性の話。


「ホテルでシャワーを」
異国でホテルを探すためタクシーに乗り込む男と執拗に女性を紹介して
くる運転手。


「ラスト・オーダー」
バーをたたむ男、職にあぶれた老人、別れを切り出された若い女性。
それぞれのラスト・オーダーを描く。ほろ苦い。
こういった小説を何というのか。上手い。


ここまでは短編集「少女と武者人形」と同じ内容です。

ここからは短い作品が収録されています。
サラリーマンや中年の悲哀をテーマにしたものからSFテイストまで
多彩です。ネコ好きにはたまらない作品もあります。

「十三時の時計」
「思い出酒場」
「暗い夜、悲鳴が聞こえる」
「織女と牽牛」
「ネコ・レター」
「生まれながらの敵」
「硬貨をもう一枚」
「狼がきた」
「旬の味」
「犬を連れたおじさん」
「カレンダーガール」
「雪のなかのふたり」

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注文枚数よりもついつい多く書いてしまう山田正紀先生の
枚数を抑えた?短編集です。



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丑の刻遊び

『丑の刻遊び』
竹河聖
丑の刻遊び (ふしぎ文学館)
丑の刻遊び (ふしぎ文学館)


同僚に呪いをかけるOL。
切れ味するどいショートストーリー「丑の刻遊び」をはじめ、
殺人鬼の恐怖を描いた、迫力満点のショッカー「闇の中へ」、
古代ローマの降霊術が、世にもおぞましい真実を暴き出す「降霊奇譚」
など、バラエティ豊かな恐怖のかたち・全7話。


毎度お馴染み出版芸術社「ふしぎ文学館」の1冊です。

竹河聖さん。初めて読ませていただく作家です。
恐怖小説集ですがやけにエロティックでねっとり湿度感(?)が高い。
全く救いのない「闇の中へ」のコワさが印象的です。

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恐怖小説コレクションⅢ 夢

『恐怖小説コレクションⅢ 夢』
夢 (恐怖小説コレクション)

ひと夏の肌(連城三紀彦)
エロティックなミステリ。
危うく(?)アクロバティックで合理的な解釈がされるところだった。

寝るなの座敷(高橋克彦)
遠野物語、座敷童等おなじみの高橋ワールド。

いなかった男(久野四郎)
老女の妄想が現実を侵食していく。悪い人間はでてこないが薄気味悪い。
全く知らなかった作家でしたがこれは拾い物かも。

鬼女の面(倉橋由美子)
面をつけられた人はその災いで死んでいくが、そこに強烈に惹かれる主
人公。文章が洗練されているがテイストは昔の怪奇探偵小説だ。

少女と武者人形(山田正紀)
少女というのは、こういう小説だと存在そのものがコワい。

鬼走り(夢枕獏)
ランニングをしている人が連鎖的に死んでいく。
疑惑を覚える刑事もまた・・。
というのはありがちかもしれないがとても面白かった。

氷の時計(田中小実昌)
こどもの時の夢しか見ない、これがこのようなオチに繋がっていくとは。
じわじわくる逸品かも。

黄金の腕(阿佐田哲也)
こうくるか、という恐怖小説。展開が見え始めたあたりがコワい。
こういう世界があるのであろうなあ。

Uターン病(式貴士)
ある時期より年齢が逆行していくというUターン病。
怖さはなく、ただただ切ない。染みた。

以上恐怖小説コレクションⅠ~Ⅲを連続で読んだが
何かが体の中で蠢いている気がする・・・・

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恐怖小説コレクションⅡ 魅

『恐怖小説コレクションⅡ 魅』
魅 (恐怖小説コレクション)

くだんのはは(小松左京)
これはもう何回読んだことか。
いろいろなアンソロジーにて紹介され知名度も高い。
コワい。コワい。コワい。
いろいろな怖さを併せ持つ名作中の名作。

月夜蟹(日影丈吉)
字ズラがコワい。群がる小さな蟹がコワい。

箪笥(半村良)
これは怖さとは無縁の筈の箪笥と家族にまつわるの話だが、
底知れぬ不気味さがある。
実際にこうなったら非常にコワい。

鬼の末裔(三橋一夫)
初めて知る作家でした。
自ら”不思議小説”と銘打った作品を出しているそうですが
本作も怖いというよりまさに不思議小説。面白い。
決して変わった筋立てではないかもしれないが惹きつけられる。
これからも見つけたら読んでいきたい。

無花果屋敷(島田一男)
これは伊東潤二さんのマンガ世界にぴったり。
というかそのものです。

からす(多岐川恭)
兄妹で女中を殺す計画をたてるという内容だが、この妹の存在が怖くて
不気味だ。兄も変だ。嫌な奴しか出てこない。嫌な味の小説であった。

夜歩く者(生島治郎)
ユーモラスな感じの幽霊譚だがいったんオチをつけておいて、
さらに不可思議なエンディングを迎える。

蠟人(山田風太郎)
山田風太郎の奇想がさく裂した凄まじい作品。
でも忍法帖ではこういうのは決して珍しくはないというのがまた凄い。
現代ものに奇想をぶつけた全作品を読みたい。

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恐怖小説コレクションⅠ 魔

『恐怖小説コレクションⅠ 魔』
魔 (恐怖小説コレクション)

新芸術社という版元からのアンソロジーですが
新芸術社って出版芸術社と密接な関係があるんでしょ。
『ふしぎ文学館』と似た装丁、書体も同じにおもえる。
社のロゴ後も色が違うだけで同じだ。
ラインナップの素晴らしさも同じ匂いがする。

『Ⅰ』は昭和の名作、という枠です。

踊る一寸法師(江戸川乱歩)
既読です。
サーカス、小人、美女、乱歩ワールド全開でラストは映像的。

七時〇三分(牧逸馬)
コミカルな雰囲気で進む。
藤子・F・不二雄の異色SFシリーズに合いそう。
その場合さらにラストが鮮明になる気がする。

魔(地味井平造)
一瞬現れる”魔”による騒動か。

猫町(萩原朔太郎)
非日常の世界へ迷い込む話だが、そのメカニズムも作中で解明している
ところが面白い。しかし”猫町”とは詩的な題名だなあ。

柘榴病(瀬下耽)
これは如何にも怪奇探偵小説です。柘榴病に係る医師の回顧録。
今まで読んできたその種のアンソロジーには入っていなかったです。

魔像(蘭郁二郎)
既読です。
恐怖譚にオチがつくものって好きです。

人花(城昌幸)
これも既読。
人を食べる花の話ですがちょっと恐怖の方向性が違い惹きこまれます。

ココァ山の話(稲垣足穂)
なんとも幻想的な話です。月夜を剥がす?

鰻に呪われた男(岡本綺堂)
なんとも哀しみが漂う作品ですが、鰻を生で食らいつく、という部分が
コワい。

人面疽(谷崎潤一郎)
「人間の顔を持った腫瘍」という内容の映画と、その映画そのものの謎
について。映画内容そのものが人面疽の話だが、映画そのものの謎が
不気味な雰囲気を醸し出していく。しかし殆ど解決されないまま終わって
しまった。へんな余韻が残る。
オチのつかない実話怪談のような感覚だったがこれこそ狙い?
大正七年の作品。

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座敷ぼっこ

『座敷ぼっこ』
筒井康隆
座敷ぼっこ (ふしぎ文学館)
座敷ぼっこ (ふしぎ文学館)


「遠いなぁ…」ロマン豊かに描く老教師の望郷の想い、ノスタルジィに
満ちた表題作「座敷ぼっこ」をはじめ、下水道に生きる白い猫たちと、
怪物バクーとの命がけの死闘「群猫」、人格を持ったロボット車との
切ない別れを、軽妙なタッチで描く「お紺昇天」など、初期の名作から、
近年の著者自信作「夢の検閲官」、さらに単行本未収録の最新作
「家族場面」まで、全作品から厳選したセンチメンタルSF・全25篇。
筒井康隆の、詩情あふれる傑作を集大成した異色の短篇集。


筒井康隆だ。
新潮社の筒井康隆全集を買いそろえた筒井康隆だ。
多くのツツイスト同様に実験性のある作品を求めていっていたので
本作収録のような抒情的な作品のことは忘れがちになっていました。

「座敷ぼっこ」
「お紺昇天」
「夢の検閲官」
「かくれんぼをした夜」
などなど

いいなぁ・・・

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妖異百物語 第二夜

『妖異百物語 第二夜』
鮎川哲也・芦辺拓編

鮎川哲也編の「怪奇探偵小説集」と同趣向の作品を収録しています。
あちらが3巻こちらが2巻でこれで結構満腹。
収録作はかぶっていないところが嬉しい。

それでは「第二夜」

「左門谷」丘美丈二郎
昭和二十六年(別冊宝石)

背筋が凍る、等、帯や作品解説で書かれておりどんなもんかと思ったが
なんだそんなに怖くはなかった。しかし怪奇譚のあとにくるものが
まさに怪奇探偵小説であり素晴らしかった。


「蛆」潮寒二
昭和二十七年(探偵実話)

母蠅がみた殺人事件の顛末を蛆のオレが語るというなんとも素っ頓狂な
作品。さすがに蛆探偵となって事件解決のヒントを与えはしない。


「怪樹」志摩夏二郎
昭和二十二年「黒猫」
肉食植物の話。意外とマッド・サイエンティストではなかった。


「神になりそこねた男」紗原幻一郎
昭和二十三年「ロック別冊2号ミステリイ」

不思議な雰囲気の幻想譚


「海月状菌汚染」矢野徹
昭和四十年「SFマガジン」

矢野徹さんは短編を一つ読んだことがあるのでそれは抒情的な美しい作品
だったと記憶する。本編はパニックSFでこれも大傑作。
短編ながらじわじわときて重厚感もあり、結局救われないラストもよい。


「子供の日記」松本恵子
昭和二十六年「宝石」

こういうタイトルのはコワい。大概、子供の悪意が描かれることが多いが
本編は悪意はない。ただしやはりいろいろコワい。


「キチキチ」田中文雄
昭和三十八年「別冊宝石」

人間と見分けがつかないロボットが行方不明になり、自分の夫がそのロボ
ットと思い込んだ妻の話。キチキチという機械音が聞こえ・・・。
”キチキチ”という擬音表現がコワい。


「マーラ・ワラの唄」石川年
昭和二十九年「宝石」

人魚伝説をからめた不思議な印象の話。ラストの一文がなんか良い。
”僕は人魚に唄ってきかせる唄をしらなかったのだ。”


「魔女の膏薬」篠鉄夫
昭和二十五年「妖奇」

秘境モノだが内容がエグイ。


「月の出」杉山平一
昭和三十一年「知性」

静かな余韻を残す、哀しくも清涼感もあり。


「畸形児」山村正夫
昭和三十年「宝石」

醜いといわれ続けていた男が、実は顔だけは美しいと気づいた時から
始まる悲劇。


「かぐや變生」山口年子
昭和四十九年「幻想と怪奇5号」

何やら妖しい雰囲気が立ち込め、狂気から怪奇へと変わっていく。


「蠅」楳図かずお
昭和五十九年「別冊小説現代」

あの楳図かずおです。本作は小説ですが絵柄が想起されます。
蠅、蠅、蠅・・・異国の女・・・蠅、蠅、蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅
蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅
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蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅異国の女蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅
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蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅蠅


「悪夢がおわった」田中小実昌
昭和三十六年「SFマガジン」

ひらがな多様のふしぎな文体でいかにもな怪奇小説となっています。


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しかし出版芸術社はいい仕事をしますなあ。
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妖異百物語 第一夜

『妖異百物語 第一夜』
鮎川哲也・芦辺拓編
妖異百物語〈第1夜〉 (ふしぎ文学館)
妖異百物語〈第1夜〉 (ふしぎ文学館)

鮎川哲也編の「怪奇探偵小説集」と同趣向の作品を収録しています。
あちらが3巻こちらが2巻でこれで結構満腹。
収録作はかぶっていないところが嬉しい。

まずは「第一夜」

「魚臭」鷲尾三郎
昭和二十七年(探偵実話)

船の沈没と共に海へと沈んだ妻が魚として夫の元へ戻ってくる。
ついには夫も魚になる決意をして人間界を去る。魚臭を残して・・・


「肌冷たき妻」川島郁夫
昭和二十九年(宝石)

山で遭難した妻を探し続ける男の話。こちらは冬眠を持ち出してきた。
異様な雰囲気でクラクラする。


「硝子妻」楠田匡介
昭和二十六年(探偵クラブ)

発表時は「人肉硝子」という題だったらしい。
先の2編と比べると乾いた感じだが、なにしろ、人肉とガラスだ。


「胎児」四季桂子
昭和三十二年(探偵倶楽部)
胎児から母親を描いた作品。しかも母殺し。
ねっとりとした文体とこのような視点が昭和三十二年作とはスゴイ。


「人面師梅朱芳」赤沼三郎
昭和二十四年(探偵よみもの)

妖しい宴のために人の顔を作り変えた人面師のとある婦人にあてた
警告の書簡。意外なところに真意があった。


「変身」夢座海二
昭和二十八年(宝石)

精神を入れ替えるという研究をしていた師弟が犯人と被害者になる。
結局どっちがどっちなのだか不明にして作品は終わる。


「忘れるのが怖い」和田宜久
昭和四十七年(チャチャ・ヤング・ショート・ショート)

物忘れがひどくなっていく男の日記。
ユーモラスな作品かと思いきや哀しい。


「金魚」渡辺啓助
昭和三十七年(宝石)

幽霊譚+犯罪譚だが最後はまたこの世ざるもの。


「人喰い蝦蟇」辰巳隆司
昭和二十五年(妖奇)

ねちねちとした雰囲気はいかにも蝦蟇で妖異です。
なんとなくハッピーエンドなところが逆に違和感というか可笑しい。


「怪虫」鮎川哲也
昭和三十一年(読切特撰集)

なんと鮎川哲也です。しかもパニックSF。怪獣でなく怪虫に都市が破壊
されていきます。虫が突然変異を起こす原因として空飛ぶ円盤がでてきま
すがこれはさらりとした処理で深くは書かれていません。


「奇術師」土岐到
昭和三十五年(宝石)
もういちど喝采をあびて引退をしたかった奇術師の一世一代の奇術。
文章も読みやすく怪奇的な雰囲気はないですがインパクト大。。


「黄金珊瑚」光波燿子
昭和三十六年(宇宙塵)

「宇宙塵」創設期の同人だそうです。名前のとうり女性との事。
中身は異世界からの侵略モノとでもいえるもので、もろSF。
結末もまた素晴らしい。


「人蛾物語」左右田謙
昭和二十八年(探偵実話)

人の顔をした蛾との妖しい生活。これぞ怪奇探偵小説テイスト。


「永遠の植物」村上信彦
昭和二十八年(宝石)

未開の森林で行方不明になった娘とその婚約者を追う男。
これもそのまま終わらせないラストが効いている。


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完全版 怪人二十面相・伝

『完全版 怪人二十面相・伝』
北村想
完全版 怪人二十面相・伝 (ふしぎ文学館)


江戸川乱歩が生んだ世紀の怪盗「怪人二十面相」。日本で最も名の知れた
怪盗の謎に包まれた素顔が今、明かされる!彼の魔法のような奇術は
元サーカスの天才・丈吉が世間を観客に見立てた「芸術」であった。
次々と披露される鮮やかな変装の舞台裏、明智小五郎や小林少年との
華やかな対決、二代目二十面相の誕生など、乱歩のオリジナルでは
決して味わうことができなかったおとなの冒険奇談。


この本、他社文庫で見かけていましたがそこまで食指は伸びなかった処、
出版芸術社・ふしぎ文学館シリーズとあっては、という事で購入。

江戸川乱歩の原作では怪人二十面相の正体については
本名は「遠藤平吉」であり、元々は『グランド・サーカス団』という
サーカス団の曲芸師、程度しか語られていない。

著者はここから一気に話を膨らませ怪人二十面相伝を書き上げた。
乱歩作品内の事件とうまくリンクさせ虚構に虚構を重ねて
とても面白い作品になっている。
ファンのお遊びなんだけど分量も構成においても大変な力作であることは
間違いない。しかも読みやすい文体。
伝記であるから主人公である二十面相サイドへの感情移入もあり
スラスラと読み進められました。
二十面相伝であるからか、明智小五郎がちょっとクセのある人物に
書かれているのも一興でした。

同時代なんでしょう。
晩年の太宰治も登場します。

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これ、映画化されていたんですよね。
TVでも放映した気もするんだけど見ればよかった。
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炎に絵を

『炎に絵を』

ふしぎ文学館で私に馴染みの出版芸術社の本なので迷わず購入。
”ミステリ名作館”というシリーズです。

亡き父の汚名を晴らすことを兄夫婦から依頼された弟が
父の事件を再調査していくという内容ですが
すこしずつその謎が解かれていくあたりはスリリングです。

さらに殺人事件が発生し、この作品の全体像が見えてきます。

ここからがこの作品の山場となりめくるめく展開と成っていき、
『炎に絵を』のタイトルの意味合いがわかってきます。

まさにミステリ名作です。

やはり出版芸術社、そして陳舜臣。侮れません。

↓侮らず応援よろしくお願いします。
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炎に絵を (ミステリ名作館)
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