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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

突変

『突変』
森岡浩之
突変 (徳間文庫)
突変 (徳間文庫)


関東某県酒河市一帯がいきなり異世界に転移(突変)。ここ裏地球は、危険な
異源生物(チェンジリング)が蔓延る世界。妻の末期癌を宣告されたばかり
の町内会長、家事代行会社の女性スタッフ、独身スーパー店長、ニートの
オタク青年、夫と生き別れた子連れパート主婦。それぞれの事情を抱えた
彼らはいかにこの事態に対処していくのか。異様な設定ながら地に足のつ
いた描写が真に迫る、特異災害(パニツク)SF超大作!


ある地域が突然異世界に置き換わるという派手な設定のSFです。
この異変にまきこまれたほんの小さなエリアが舞台です。
よってちゃんとした行政組織がない状態で
この変異に対応していかなければなりません。

当然ながら登場人物も我々と同じ普通の人で超人などいません。
また大した活躍もしません。
だからこその作品だと思い、私は面白かった。

しかしアマゾンレビューでは5点満点中1.9とさんざんです。

ヒーローが活躍しなければSFでないのか。
小市民のうだうだが描かれているとSFではないのか。

どうなんでしょう。

この著者の事は恥ずかしながらは全く知りませんでしたが、
この手の作品なら大歓迎です。

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ロシア紅茶の謎

『ロシア紅茶の謎』
有栖川有栖
ロシア紅茶の謎 (講談社文庫)
ロシア紅茶の謎 (講談社文庫)


作詞家が中毒死。彼の紅茶から青酸カリが検出された。どうしてカップに
毒が?表題作「ロシア紅茶の謎」を含む粒ぞろいの本格ミステリ6篇。
エラリー・クイーンのひそみに倣った「国名シリーズ」第一作品集。
奇怪な暗号、消えた殺人犯人に犯罪臨床学者・火村英生とミステリ作家・
有栖川有栖の絶妙コンビが挑む。


短編集で多彩な作品が嬉しい。

「動物園の暗号」
殺人犯人を示したと思われる暗号文。ダイイングメッセージでもある。
暗号は解けたが犯人かどうかの証拠固めは別、という割り切りが良い。

「屋根裏の散歩者」
まさにあれ。でも罠を仕掛ける火村先生はいかがなものか。

「ロシア紅茶の謎」
命がけの毒薬トリック。でも十分ありえそう。
こんな会話もうれしい。

「お前、いい年こいてこんなの車の中で鳴らしてんのか?」
火村は冷ややかな目をして言った。
「キング・クリムゾンを聴きながら鼻歌混じりのドライブはできんや
ないか」

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そして生活はつづく

『そして生活はつづく』
星野源
そして生活はつづく (文春文庫)
そして生活はつづく (文春文庫)


携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、
人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、
何があっても生活はつづいていく。
ならば、そんな素晴らしくない日常を、
つまらない生活をおもしろがろう。
音楽家で俳優の星野源、初めてのエッセイ集。


なんという面白さなんだ。しかも心地よい。
中盤からは完全にハマり、ひくひく震えながら読んでました。

文章のリズムが良い。
笑える内容であるのに、1行づつ区切れば歌詞になりそう。
しかもちょっとほろ苦さのある・・・。

突如出てくるエロネタにも驚く。

基本的に「逃げ恥」からのファンで、今まで知らずにいて恥ずかしい。
演技が素晴らしい。歌もいい。しかも詩、曲、アレンジもこなす。
その上、こんな文章も書くとはいったいどうなっているのでしょう。

一人が楽といった内容がよく出てくるがそんなところもなんだか嬉しい。
星野さんのパーソナリティが良く出ているようで親近感が湧きました。

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安達ヶ原の鬼密室

『安達ヶ原の鬼密室』
歌野晶午
安達ヶ原の鬼密室 (祥伝社文庫)
安達ヶ原の鬼密室 (祥伝社文庫)


太平洋戦争末期、疎開先から逃げ出した梶原兵吾少年は、一人の老婆が留
守を預かる不思議な屋敷で宿を借りることに。その夜、二階の窓には恐ろ
しい“鬼”の姿が…。やがて、虎の像にくわえられた死体が見つかり、屋
敷に逗留していた者は次々に異様な死を遂げた―。いくつもの謎と物語が
交差する、著者ならではの仕掛け満載、興奮必至の傑作ミステリー!


既読です。
あのメイントリックを途中で思い出してきました。でも面白い。

本編である「安達ヶ原の鬼密室」を
「こうへいくんのナノレンジャーきゅうしゅつだいさくせん」と
「The Ripper with Edouard」という小説が
それぞれ前編、後編として挟みこんでいる構成です。
また「安達ヶ原の鬼密室」内にも探偵役がかつて関わった事件として
「密室の行水者」という章でまるまる”展望風呂殺人事件”が
組み込まれています。

何でこうなったかというと・・・・・

不可能趣味炸裂の大ネタを配置した上に、
このような小説そのものの遊びも加わえた本格ミステリーでした。

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書生の処世

『書生の処世』
荻原魚雷
書生の処世
書生の処世


自由にたのしく暮らすには
ひまさえあれば本を読み、ひまがなくても本を読む。
アメリカン・コラムに私小説、ノンフィクションからマンガまで。
どんな本にも生きるヒントがある。 
世渡り下手の読書術。


という”内容紹介”ですが
そんな大層なものではなくもっとユルイ。
そこがよいんです。

生きるヒントなんていらない。

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怪笑小説

『怪笑小説』
東野圭吾
怪笑小説 (集英社文庫)
怪笑小説 (集英社文庫)


年金暮らしの老女が芸能人の“おっかけ”にハマり、乏しい財産を使い
果たしていく「おつかけバアさん」、“タヌキには超能力がある、UFOの
正体は文福茶釜である”という説に命を賭ける男の「超たぬき理論」、
周りの人間たちが人間以外の動物に見えてしまう中学生の悲劇
「動物家族」…etc.ちょっとブラックで、怖くて、なんともおかしい人間
たち!多彩な味つけの傑作短篇集。


『怪笑小説』『毒笑小説』『黒笑小説』『歪笑小説』を、
こらえきれずに一気に購入してしまった。
一般的な東野作品はそれほど読んではいないのに。

「鬱積電車」
電車内で誰もが誰かに対して思う負の感情がたっぷり。そしてラストは
大変なことが起こりそう、というところで終わる。

「おっかけバアさん」
芸能人の”おっかけ”に目覚めるバアさんの話。とにかくパワフルで
話が暗くならない。

「一徹おやじ」
こどもを野球人に育てようとするおやじの話。わりあい順調にその道に
進んでいくがラストは別の道だった。

「逆転同窓会」
生徒の同窓会に先生を呼ぶのでなく、先生の同窓会に生徒を呼ぶ。
ラストはほろ苦いがうなづける。これは大傑作か。

「超たぬき理論」
UFOは文福茶釜である。いい加減そうだが、所謂ビリーバーとのUFO
討論だとこちらに分があるのも面白い。

「無人島大相撲中継」
大相撲実況を完璧に再現できる男をめぐる話。孤立してしまった無人島で
の娯楽として最高。

「しかばね台分譲住宅」
見知らぬ死体を互いの陣地になすりつけあう二つの分譲住宅群。
腐っていく死体の描写はえぐくなっていくがオチは秀逸。

「あるジーサンに線香を」
若返ってそしてまた老化していくジーサンの日記。アレのパロディだが
こちらはこちらで哀しい。

「動物家族」
親でも兄弟でも学校でもその特徴が分かると動物に見えてしまう中学生。
笑いはなくひたすら暗い。筒井康隆の影響を感じる。

ということで全体において
筒井康隆をむさぼり読んだ時のような感覚を得た。
面白い。

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倒叙の四季

『倒叙の四季』
深水黎一郎
倒叙の四季 破られたトリック (講談社ノベルス)
倒叙の四季 破られたトリック (講談社ノベルス)


懲戒免職処分になった元警視庁の敏腕刑事が作成した
“完全犯罪完全指南”という裏ファイルを入手し、完全犯罪を目論む4人
の殺人者。「春は縊殺」「夏は溺殺」「秋は刺殺」
「冬は氷密室で中毒殺」。心証は真っ黒でも物証さえ掴ませなければ逃げ
切れる、と考えた犯人たちの練りに練った偽装工作を警視庁捜査一課の
海埜刑事はどう切り崩すのか?一体彼らはどんなミスをしたのか。


タイトル通り倒叙モノのミステリ連作です。事件は “完全犯罪完全指南”
に沿って緻密に計画されています。
犯行描写は細かく法医学的な内容も多く含んでおり興味深いものがありま
した。多くのミステリでの犯人の浅墓な行動を批判(得意のメタでなく)して
いたりしているところもありそこも興味深い。

謎解きはあくまで物的証拠に拘るので犯人との駆け引き部分が少ない
という事もあるのでしょうが、探偵役の造形は抑えているようです。
コロンボ、古畑、福家のようなキャラはありません。

・・・が本格推理の面白さを伝承するものとして、ぜひ作品数を増やして
テレビドラマ化していただきたい。
“完全犯罪完全指南”に関する部分は最終話のサプライズとして。

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不可能犯罪捜査課

『不可能犯罪捜査課』
ディクスン・カー
不可能犯罪捜査課 (創元推理文庫―カー短編全集 1 (118‐1))
不可能犯罪捜査課 (創元推理文庫―カー短編全集 1  (118‐1))


発端の怪奇性、中段のサスペンス、解決の意外な合理性、
この本格推理小説に不可欠の三条件を見事に結合して、
独創的なトリックを発明するカーの第一短編集。
奇妙な事件を専門に処理するロンドン警視庁D三課の課長マーチ大佐の
活躍を描いた作品を中心に、「新透明人間」「空中の足跡」
「ホット・マネー」「めくら頭巾」等、全十編を収録。


まず第一に文字が小さい!
創元推理文庫、1997年の45版。1ページ44文字×18行です。
(この前読んだ講談社文庫は38文字×16行。
老眼に優しいこの大きさの活字が良くなってきた。)

それを言い訳にしてしまいますが、なかなか文章に集中出来なかった。
登場人物も多くついていけなかったのもあります。

そんななか「銀色のカーテン」はなかなか良かった。
トリックうんぬんよりわかりやすかったってことですけど。

「めくら雑巾」は”解決の合理性”のあとにゴースト・ストーリーを
組み入れるという展開でした。
(日本の怪奇探偵小説っぽい味わいかも)

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醗酵人間

『醗酵人間』
栗田信
醗酵人間 (ミステリ珍本全集03)
醗酵人間 (ミステリ珍本全集03)


「戦後最大の怪作SFの噂。酒を飲んで発酵する謎の怪人。
あまりのバカバカしさは、むしろ感動を呼ぶ」と評され、
「BOOKMAN」誌の〝SF珍本ベストテン〟第6位を獲得した『醗酵人間』
(1958年刊)。
そして、なぜか「醗酵人間」に対抗意識を燃やし、
LSDで人格変換を起こす主人公の活躍を描く『改造人間』(1965年刊)
を同時収録する。


ずっと欲しかった本です。
やっと買いました。
でも読まない気もします。

まず、「ミステリ珍本全集」(第3回配本)というところがいい。
本作は明らかにこの企画の目玉です。

装幀もいい。
しかし中身はグダグダらしい。

以下、帯の内容です。

**********************
墓場から甦った
復讐鬼・醗酵人間とは何者か⁈
醗酵人間・九里魔五郎が巻き起こす
奇想天外な怪事件!

戦後SF最大の怪作と呼ばれた
天下の奇書!
**********************

どうですか。
持ってるだけで楽しいでしょう。

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君の望む死に方

『君の望む死に方』
石持浅海
君の望む死に方 (祥伝社文庫)
君の望む死に方 (祥伝社文庫)


余命六カ月―ガン告知を受けたソル電機社長の日向は、社員の梶間に、
自分を殺させる最期を選んだ。日向には、創業仲間だった梶間の父親を
殺した過去があったのだ。梶間を殺人犯にさせない形で殺人を実行させる
ために、幹部候補を対象にした研修を準備する日向。彼の思惑通りに進む
かに見えた時、ゲストに招いた女性・碓氷優佳の恐るべき推理が、計画を
狂わせ始めた…。


『扉は閉ざされたまま』登場の碓氷優佳が出てきます。
今回は殺されたい男と殺したい男のそれぞれの計画に気付いた碓氷優佳が
その計画をつぶしてしまうというものです。
例えば、外部犯と思わせるために外していた窓の鍵を直しておくとか。

社員研修会(ともう一つの意義)という舞台設定が有効に活用され
それぞれの計画は阻止されていきます。

場合によっては、すれ違い型コメディとして成り立つような設定ですが
碓氷優佳という特異なキャラクターが本作を暗めなものに変えています。

ああ面白かった。
やはり石持浅海はいいなあ。

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