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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

大蛇伝説殺人事件

『大蛇伝説殺人事件』
今邑彩
↓画像は文庫、買ったのはカッパノベルス



島根県松江市のホテルで、画壇の巨匠・月原龍生が失踪。同じころ、
出雲大社内で男の肉体の一部が発見される。さらに島根県各地の
スサノオを祭る神社から次々と同じ男のバラバラ死体が。鑑識により
死体は月原と判明。何故、ヤマタノオロチの如く解体されたのか?
スサノオの意味は?探偵・大道寺綸子は、真相を追う!トリックと神話を
見事に融合させた巨編。


前半はこれでもかと日本神話のペダントリーが入っているが
後半はピタッとなくなる。
ミステリとしては今邑さんらしくない凡庸さ。
よくあるタイプ(そんなに読んでないですが)の
量産カッパノベルス型作品です。

どうせよむなら本作以外を読んでみてください。
面白いですよ。

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繭の密室

『繭の密室』
今邑彩



日比野功一の妹・ゆかりは帰宅途中に何者かに誘拐された。同時期に、
チェーンのかかった密室状態のマンション一室からの転落死事件が発生。
捜査にあたった貴島刑事は六年前のある事件に辿り着く。事件の真相は、
そして誘拐の行方は…?傑作本格ミステリシリーズ第四作。


前3作が切れすぎていたためか本作は小粒な印象です。
オカルト的な導入+本格のシリーズだったはずですが、オカルトの部分が
無くなり、後味の悪さだけが残るといった感じです。

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盗まれて

『盗まれて』
今邑彩



優秀なゴースト・ライターだった夫が本当の「幽霊」になってしまった!
困り果てる売れっ子作家に夫の幽霊から電話が…(「ゴースト・ライター」)。
中学時代の同級生から、十五年の歳月を越えて送られて来た手紙とは
(「時効」)。ミステリーはいつも電話と手紙によって運ばれる。
傑作推理短篇集。


何冊か今邑彩さんの作品を読んできたがいつも通りといえばいつも通り。
つまりはどれもがどんでんがえしの妙が味わえる、といったところです。
いつでもこれだけの驚きを与えてくれる、そしてそれは常に高水準とい
う作家はそうはいないんじゃないかと思いながら読みました。

幻想的な話に逃げずに常にミステリとして筋を通すこれらの作品は
やはり面白いです。真っ向勝負という感じが好きです。

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「死霊」殺人事件

『「死霊」殺人事件』
今邑彩



東京駅で拾った客を世田谷の家に届けたが、「金を取ってくる」と言った
まま戻ってこない。痺れを切らし中に入ったタクシー運転手が目撃した
のは、2人の男の死体だった。警察は直ちに捜査を開始。1階の和室の床
下が掘られており、2階の寝室には、泥まみれの女の死体が…。
その上、現場は密室状態で…。大胆・斬新なトリックが光る、
長編本格推理小説の秀作。


基本的にはアリバイ崩しをメインとしたミステリです。
しかし一筋縄ではいかないところはさすが今邑彩。
本筋の事件のほかに関係者の過去の事件も浮かび上がります。

怪奇性のある発端と合理的な解決の本格ミステリが見事に融合しています。

そして最終場面でのある登場人物が別の登場人物を評する場面、
これは心の闇を描くという事でこの部分がホラーかも。

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「裏窓」殺人事件

『「裏窓」殺人事件』
今邑彩



自殺と見えた密室からの女性の墜落死。向かいのマンションに住む少女
は、犯行時刻の部屋に男を目撃していた。少女に迫る、犯人の魔の手…
また、同時刻に別の場所で起こった殴殺事件も同一人物の犯行とみられ。
衝撃の密室トリックに貴島刑事が挑む!本格推理+怪奇の傑作、
貴島シリーズ第二作。


本格推理+怪奇とありますが、怪奇の部分は推理の部分とはうまくリンク
していなかったようでその部分は若干評価が下がるかもしれません。

今まで読んできた今邑作品が面白すぎたので、むしろ安心(?)しました。

しかし伏線回収やミスリード等、あるべき本格への探求は
やはり今邑クオリティといったところでしょうか。

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少女Aの殺人

『少女Aの殺人』
今邑彩



「養父に身体を触られるのが、嫌で嫌でたまりません。このままでは
自殺するか、養父を殺してしまうかも―」
深夜放送の人気DJのもとに届いたのは、「F女学院の少女A」という
女子高生からのショッキングな手紙だった。
家庭環境があてはまる生徒三名の養父は物理教師、開業医、そして刑事。
直後、そのうちのひとりが自宅で刺殺され…。


またしても面白い。
今邑彩さん。ハマってます。

犯人は決まっているかのように思われたので
トリック解明や新たな動機さがしを主としたものと思い読んでいました。

とんでもない。
後半とんでもない方向に話が流れていきました。
いわゆるモノローグの部分を正として、こんな展開も可能なのかと
驚いてしまいました。
話の中身は暗いですが、途中でアレっもしかしてと思ったときは
むしろ爽快でした。

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そして誰もいなくなる

『そして誰もいなくなる』
今邑彩



名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』
の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、
その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。
次のターゲットは私!?部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに、
姿なき犯人に立ち向かうが…。戦慄の本格ミステリー。


クリスティの『そして誰もいなくなった』を下敷きにしたミステリです。
この連続殺人では本家さながらの意外性のある真犯人が現れ、
またそこへいくまでの展開も見事でした。
しかしこれだけで終わらせないところはさすが今邑彩。
(最近何作か読んでいてその仕掛けの多さに感じ入っています)
この事件だけでこのミステリを終わらせても成立するところ、
別のエピソードを差し込みさらに驚かせる展開となりました。

ラストの章でのとある人物の想いも良かった。

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思えばタイトル通りかなりの人がいなくなります。

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i 鏡に消えた殺人者

『i 鏡に消えた殺人者』
今邑彩



作家・砂村悦子が殺された密室状態の部屋には、鏡の前で途絶える足跡
の血痕が。遺された原稿には、「鏡」にまつわる作家自身の恐怖が自伝
的小説として書かれていた。鏡のなかから見つめているのは、死んだ
はずの「アイ」―!?貴島刑事が鏡に消えた殺人者に挑む、
傑作本格ミステリ。


鏡の前で途絶える足跡の血痕というミステリとしての大ネタと
冒頭に置かれる幻想的な犯罪譚が絡み合い惹きつけられました。

足跡の謎や真犯人は後半に意外とあっさりと解決されてしまい
物足りなさを感じてしまったのですがまだまだページ数が残っています。
ここからの展開であっと唸ってしまいました。
この部分、あるいはこの部分と本格ミステリ、との融合がキモでした。

さらにはプロローグとエピローグ。
ここはホラーなのですがミステリ的な仕掛けも入っていました。
(ミスリードさせられていました)

副題に”警視庁捜査一課・貴島柊志”とあり
登場シーンがエリートっぽく書かれていてさぞや活躍するかと思ったら
かなり普通。過去に何かある設定のようだがまだ見えてこない。


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この作品を読む前に有栖川有栖の短編集『怪しい店』を読んだのですが
既視感を覚えるような事象が3件ありました。偶然でしょうけど。

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ルームメイト

『ルームメイト』
今邑彩



私は彼女の事を何も知らなかったのか…?
大学へ通うために上京してきた春海は、京都からきた麗子と出逢う。
お互いを干渉しない約束で始めた共同生活は快適だったが、
麗子はやがて失踪、跡を追ううち、彼女の二重、三重生活を知る。
彼女は名前、化粧、嗜好までも替えていた。
茫然とする春海の前に既に死体となったルームメイトが…。


面白い。
何が面白いって、最終章に入る前に文庫本用あとがきがある。
ここで話は終わるがバッドエンドでいい人は次へ進んでください」、
という内容です。人を食ってます。
ここまででどんでん返しをしておきながらまだやるのか。

こういった所も面白いのですが
当然ながらバッドエンド前の本編自体が素晴らしい。
最後で一気にどんでん返しをするのでなくて、
読者を少しづつミスリードしていく巧さは、
騙される側として読みながらもヘンに心地よい。

意識して読み始めた今邑彩は3作目(創元推理文庫では読んでいる筈)
ですがハズレなしの高密度作品ばかり。
いままでほぼ素通りしていてもったいない気分です。
これからは要注意です。

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よもつひらさか

『よもつひらさか』
今邑彩



現世から冥界へ下っていく道を、古事記では“黄泉比良坂”と呼ぶ―。
なだらかな坂を行く私に、登山姿の青年が声をかけてきた。
ちょうど立ちくらみをおぼえた私は、青年の差し出すなまぬるい水を
飲み干し…。一人でこの坂を歩いていると、死者に会うことがあると
いう不気味な言い伝えを描く表題作ほか、
戦慄と恐怖の異世界を繊細に紡ぎ出す全12篇のホラー短編集。


なんという面白さでなんという恐さだろう。
”ホラー”という呼び名が好きでないので敢えていいますと
これらはまぎれもなく怪奇小説集です。
しかも探偵小説時代のそれを彷彿させます。

「見知らぬあなた」
正体不明の文通相手と殺人事件との関係は?

「ささやく鏡」
自分の未来を映す鏡の話。

「茉莉花」
出張先の父からの不可思議な手紙。
ミステリ的解決とそれ以上の何かがあります。

「時を重ねて」
これは抒情SFともとれる物語です。

「ハーフ・アンド・ハーフ」
なんでも割り勘にしないと気がすまない妻との離婚協議。
切れ味鋭いオチに感服です。

「双頭の影」
奇妙な話ですがラストでのとある暗示がジワリと効く。

「家に着くまで」
タクシー運転手と客の会話からとある事件の真相が語られる。
ミステリとしての面白さが堪能できます

「夢の中へ・・・」
ラストで物悲しい話にかわります。

「穴二つ」
メールのやり取りをする二人の人物。
常に想像の上をいく展開でした。

「遠い窓」
幻想的な事象が起こるがミステリ的な解決もされ、さらにひねりが。

「生まれ変わり」
最後にそれまでの登場人物とは違う人物のモノローグが入った。
読み返してその仕掛けに気付いた。すごい展開だった。

「よもつひらさか」
”なまぬるい水”という表現からもうなんかイヤな感じ。
読み手がだんだん気付いていく事でコワさが増していきます。

傑作ぞろいの短編集ですが
ミステリ度の強い作品、そうでないものとあります。
いずれにしても事件の構図がある時点で反転してしまうあたりは
連城三紀彦さんの作風とも通じるところがあるかもしれません。
巧みな文章表現であるところも似ているかもしれません。

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