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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

月世界小説

『月世界小説』
牧野修
月世界小説 (ハヤカワ文庫JA)


友人とゲイパレードを見に来ていた青年、菱屋修介は、
晴天の空にアポカリプティック・サウンドが響くのを聞き、
天使が舞い降りるのを見た。次の瞬間、世界は終わりを告げ、
菱屋は惨劇のただなかに投げ出された。
そして彼が逃げこんだ先は自分の妄想世界である月世界だった。
多数の言語が無数の妄想世界を生み出してしまった宇宙を
正しく統一しようとする神の策謀と、
人間は言語の力を武器に長い戦いを続けていたのだった。


久々に自分の理解の範疇を超えた作品を読みました。
否定的な意見ではなく自分には難しかったという事です。

途中まではストーリーもわかっていたつもりでしたが
中盤からもうついていけなくなりました。
ストーリーというよりもイマジネーションを楽しむ小説だったようです。

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解説は山田正紀。
かの『神狩り』と近い部分もあるようです。
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磁極反転の日

『磁極反転の日』
伊予原新
磁極反転の日 (新潮文庫)


地球のN極とS極が反転し始めた。大規模地磁気嵐が発生し、
東京上空にオーロラが出現。
異様な寒冷化と降り注ぐ宇宙線に不安が広がる中、
女性記者浅田柊の耳に奇妙な話が聞こえてくる。
都内の病院から妊婦たちが次々と失踪しているというのだ…。
謎の団体、脳科学の闇、不可解な妊婦の死。
取材の果て、柊が突き止めた恐るべき真相とは。
パニックSFの新たなる傑作。


まずは全く知らない作家でした。
ブックオフで目にするたび何となく気になっていたものの決心つかず。
しかしいつまでも本棚に残っているのでここは私がと購入しました。
(しかし購入した事が呼び水となり後に買った作品を先に読了)

面白かった。
磁極が反転するという大掛かりなSF設定にワクワクしながら読みました。
この磁極反転に係るペダントリーも楽しい。
登場人物に超人が出てこないのもよい。
妊婦たちの失踪という部分でのサスペンスも面白く
磁極反転に係っているところもうまい。

本来なら世界中がもっとどうにかなってしまうくらいの
この大それた設定だがこの部分は結構淡々としている。
もしかすると物足りなさを感じるハードSFファンがいるかもしれない。
しかし普通の人々が織りなすこの物語世界はいい。

改めて思うに私はこういった市井の生活を描く作品が好きです。
SFのダイナミズムの中にある身近な人々の生活。
危機的状況で政治的な駆け引きも行われ続ける社会。
その中での一般市民の生活を描く。
これこそ日本的SFなのではありますまいか。
思えば小松左京「日本沈没」もそういった素晴らしい作品でした。
ついでに言えばこういった要素がないスペース・オペラものは苦手。

さて本作、読後感も良く久々にいいSFを読んだなあ、という感想です。

磁極反転の日 (新潮文庫)

新潮文庫のこの往年のSFを感じさせるカバーの絵柄もいい味出してます。
実はこの本を買う事にした要因の一つであります。

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言語小説集

『言語小説集』
井上ひさし
言語小説集 (新潮文庫)
言語小説集 (新潮文庫)


ワープロのディスプレイ上でカギ括弧同士が恋をした。
威張り腐った●や■に他の記号たちが反乱を起こす「括弧の恋」。
方言学の大家が、50年前自分を酷い目に遭わせた特高の元刑事を訛りから
見破って復讐する「五十年ぶり」。
ある日突然舌がもつれる青年駅員の悲劇を描く「言語生涯」など
言葉の魔術師による奇想天外な七編に加え、
抱腹絶倒の四編を新たに収録した著者最後の短編集。


「と」が互いに寄り添うのを面白く思わない●や■。
思いのほか「と」をサポートする!や/や%。

ってよくわからないでしょう。そういう小説です。
一番実験的な作品がこの「括弧の恋」
{<[]>}なども出てきたりしますが、
井上ひさしさんが今の絵文字を知っていたら
一体どのように展開していたんでしょう。

あとは「言語生涯」が面白い。
言い間違えをしてしまう男の話だが、
その言い間違いの例はあり得る範囲で割とおとなしめです。
すさまじいギャグを連発することができる状況なのに。
これは意図して抑えていると思うんですが如何でしょう。

「極刑」もスゴイ。
意味をなさない文章を演じることになった演者がどうなっていくか。
結構ホラー。


という事で井上ひさしさん。ひさしぶりに読みました。

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解説は筒井康隆。
自身や自作との対比をしていて興味深い。
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狐と踊れ

『狐と踊れ』
神林長平
狐と踊れ〔新版〕
狐と踊れ〔新版〕


5Uという薬を服用し続けなければ、体内から“胃”が逃げ出してしまう
という未来社会。5Uの配給によって厳しく管理される日常に倦んだ男は、
人間と胃が共生するというユートピアの存在を知る…
ハヤカワ・SFコンテスト佳作入選の表題作、
エントロピー理論を援用した異色の時間SF「忙殺」ほか5篇に加え、
単行本未収録の「落砂」「蔦紅葉」「縛霊」「奇生」の連作4篇を
増補した、記念すべきデビュー作品集の再編集版。


かなり期間をあけて読んだので中身は忘れかけているのですが
イメージ的には難解。
スラップスティック風の作品はありましたが基本は重く暗い?

「落砂」が良かった。

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本書は新版ですが「敵は海賊」は旧版収録との事。
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日本幻想小説傑作集Ⅰ

『日本幻想小説傑作集Ⅰ』
日本幻想小説傑作集 (1) (白水Uブックス (75))
日本幻想小説傑作集 (1) (白水Uブックス (75))


甘美な死の想念に誘う詩的幻想、文明の不条理と管理社会の恐怖を描く
変身譚、現代人の夢と狂気の物語など、珠玉の短篇第1集。筒井康隆、
中島敦、五木寛之、小川未明、江戸川乱歩、安部公房、小松左京、
赤江瀑、神吉拓郎、笹沢左保、都筑道夫、眉村卓、黒井千次、
芥川龍之介の傑作を収録。



まず気になってはいた白水uブックスという本を初めて買いました。
ブックオフではノベルスの並びに数冊置いてある類です。
海外古典作品のイメージでしたが日本の幻想小説ですから”買い”です。

さて内容ですが
筒井康隆「佇む人」大乱歩「押絵と旅する男」小松左京「くだんの母」は
アンソロジー収録率高い傑作中の傑作。
何度読んだかわからないので今回は飛ばしました。

以下初読(でないのもあるかもしれない)
中島敦「山月記」
すみません。これだけパスしました。でも「文字禍」は読んでいます。

五木寛之「白いワニの帝国」「老車の墓場」
奇妙な味というべきもの。
だから何?で終わりそうな雰囲気もありこの味が良い。
この系列の作品群を是非読みたい。

小川未明「金の輪」
さりげなく救われない話だった。

安部公房「人魚伝」
出だしから文体が安部公房。やはりこの人の文章って個性があるな。
幻想譚からSFっぽくなるところもいい。
日本SFの最初期の人でもあるしね。

赤江曝「春泥歌」
幻想というよりはもっと現実的な雰囲気の話。
実は分厚い短編集を持っているが積ん読。

神吉拓郎「二ノ橋 柳亭」
編者の阿刀田高さんも言っているように幻想小説ではなさそう。
でもいい味のある良い作品です。
誰も知らない料亭を語る食通の話。

笹沢左保「老人の予言」
もう少し前の世代の”怪奇探偵小説”の世界です。

都筑道夫「かくれんぼ」
これこそ幻想小説だなあ。恐怖と不安がじわじわときます。

眉村卓「トロキン」
昔から読んできた眉村テイストです。
ジュブナイルもこの系統だったことを思い出しました。

黒井千次「子供のいる駅」
うわあ。これは素晴らしい。
こんな味わいはなかなかないです。うまく内容を伝えられない。

芥川龍之介「魔術」
芥川龍之介には本作のような面白い作品がたくさんありそうです。
こういう作品があることは殆どの人は知らないでしょう。
本作も寓話的な内容かもしれませんがエンタメ性があり、
一部の有名な辛気臭い(?)作品群とは違います。

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Ⅱが欲しい。
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スペース金融道

『スペース金融道』
宮内悠介
スペース金融道
スペース金融道


人類が最初に移住に成功した太陽系外の星―通称、二番街。
ぼくは新生金融の二番街支社に所属する債権回収担当者で、
大手があまり相手にしないアンドロイドが主なお客だ。
直属の上司はユーセフ。この男、普段はいい加減で最悪なのに、
たまに大得点をあげて挽回する。
貧乏クジを引かされるのは、いつだってぼくだ。
「だめです!そんなことをしたら惑星そのものが破綻します!」
「それがどうした?おれたちの仕事は取り立てだ。
それ以外のことなどどうでもいい」
取り立て屋コンビが駆ける!新本格SFコメディ誕生。


宇宙だろうと深海だろうと、核融合炉内だろうと
零下190度の惑星だろうと取り立てる、がモットーの新正金融。
ぼくと上司のユーセフが主人公です。

”新本格SFコメディ”この惹句ではくくれきれない物語です。
なにしろ取り立てる相手はアンドロイド、人工生命、など。
ここら辺の扱いについてはハードSF的な手触りがあり
理解が追いついていきませんでしたが面白い。
さらに宇宙金融工学。
これも理解の範囲外ですが面白い。
つまりはハードSFのはったりを十分に利かせた
めちゃくちゃ面白い物語です。
なんだかわからないが面白い。

”取り立て屋コンビが駆ける!新本格SFコメディ誕生。”
この表現で避けてしまっている人もいると思います。
(私がこういった表記から想起されるヒロイック・ファンタジー的な
物語が苦手なものですから・・・)
しかし脳髄を刺激する訳の分からない世界に溺れたい人にはお勧めです。

私は『本の雑誌』での的確な評で知っていたので手に取りました。
ありがたや。

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猫の事件

『猫の事件』
阿刀田高
新装版 猫の事件 (講談社文庫)
新装版 猫の事件 (講談社文庫)


楽して簡単にお金を手に入れる方法はないものか。
子どもを誘拐して身代金。でも危険がいっぱいだ。
ある時、オレはひらめいた。
大金持ちのばあさんが溺愛している猫をさらって“猫質”にすればいい
――表題作「猫の事件」をはじめ、随所に潜む巧妙な仕掛けに
常識がひっくり返る全35編の傑作ショートショート集。


ショートショートといえば星新一、で育っています。
そんなわけでオチがはっきりとついているものが好みです。

好み以前にオチがなくてショートショートといっていいのやら。

いろいろショートショート集はありますが
ここらへんが不満な作品集はたくさんありました。
大御所でも、怪奇譚、幻想譚、悲哀を感じさせる人間ドラマ、
がメインでオチなしのものが多いのが実情です。

ところが、あまり期待していなかったのですが
本作、見事にオチがついています。捻っています。
さすが阿刀田高だ。良かった。
ショートショートはこうでなくては。

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アラミタマ奇譚

『アラミタマ奇譚』
梶尾真治
アラミタマ奇譚 (祥伝社文庫)
アラミタマ奇譚 (祥伝社文庫)


阿蘇山に旅客機が墜落、婚約者苫辺千穂と彼女の実家を訪ねる途中だった
大山知彦は、唯一人生還、他の乗客乗員は消失した。千穂を捜す知彦は
父親尊利に会う。千里眼を持つ代わりに激しく老化した彼が語る苫辺家の
秘密と阿蘇を護る一族の存在。彼らの縁者も事故で消えたという。直後、
一族の祭祀場〝基〟で異変が続発、やがて怪現象が阿蘇を覆い始めた…。
未曾有の変事の行方は?


梶尾真治さんは殆ど読んできたことはなかったのですが
本作には伝奇小説的なテイストを感じ取り読んでみました。

導入部分から、次々に状況が明かされるスピーディな展開には
手慣れたものを感じました。

ただ後半、物語とは関係ない部分が気になりだしてきました。
〝基〟
〝邪魔〟
〝鬼八〟
〝わかる〟
〝見える〟
このてんてん。
意図するところはわかりますが、あまりに多すぎて
てんてんとてんてんの距離が短くどこがてんてんの部分かわかりにくい。

↓極端にはこんな感じです。
〝基〟の変化が〝わかり〟、〝邪魔〟と〝鬼八〟が戦うのが〝見える〟。

読みづらかった。

ファンタジー系SFって”邪悪なモノ”とかそんな表現が多くて
それが苦手な一因でもあるのです。
(本作は安っぽいファンタジーではないです))

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突変

『突変』
森岡浩之
突変 (徳間文庫)
突変 (徳間文庫)


関東某県酒河市一帯がいきなり異世界に転移(突変)。ここ裏地球は、危険な
異源生物(チェンジリング)が蔓延る世界。妻の末期癌を宣告されたばかり
の町内会長、家事代行会社の女性スタッフ、独身スーパー店長、ニートの
オタク青年、夫と生き別れた子連れパート主婦。それぞれの事情を抱えた
彼らはいかにこの事態に対処していくのか。異様な設定ながら地に足のつ
いた描写が真に迫る、特異災害(パニツク)SF超大作!


ある地域が突然異世界に置き換わるという派手な設定のSFです。
この異変にまきこまれたほんの小さなエリアが舞台です。
よってちゃんとした行政組織がない状態で
この変異に対応していかなければなりません。

当然ながら登場人物も我々と同じ普通の人で超人などいません。
また大した活躍もしません。
だからこその作品だと思い、私は面白かった。

しかしアマゾンレビューでは5点満点中1.9とさんざんです。

ヒーローが活躍しなければSFでないのか。
小市民のうだうだが描かれているとSFではないのか。

どうなんでしょう。

この著者の事は恥ずかしながらは全く知りませんでしたが、
この手の作品なら大歓迎です。

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醗酵人間

『醗酵人間』
栗田信
醗酵人間 (ミステリ珍本全集03)
醗酵人間 (ミステリ珍本全集03)


「戦後最大の怪作SFの噂。酒を飲んで発酵する謎の怪人。
あまりのバカバカしさは、むしろ感動を呼ぶ」と評され、
「BOOKMAN」誌の〝SF珍本ベストテン〟第6位を獲得した『醗酵人間』
(1958年刊)。
そして、なぜか「醗酵人間」に対抗意識を燃やし、
LSDで人格変換を起こす主人公の活躍を描く『改造人間』(1965年刊)
を同時収録する。


ずっと欲しかった本です。
やっと買いました。
でも読まない気もします。

まず、「ミステリ珍本全集」(第3回配本)というところがいい。
本作は明らかにこの企画の目玉です。

装幀もいい。
しかし中身はグダグダらしい。

以下、帯の内容です。

**********************
墓場から甦った
復讐鬼・醗酵人間とは何者か⁈
醗酵人間・九里魔五郎が巻き起こす
奇想天外な怪事件!

戦後SF最大の怪作と呼ばれた
天下の奇書!
**********************

どうですか。
持ってるだけで楽しいでしょう。

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