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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

攪乱者

『攪乱者』
石持浅海
攪乱者 (実業之日本社文庫)
攪乱者 (実業之日本社文庫)


コードネーム、久米・宮古・輪島のテロリスト三人。組織の目的は、
一般人を装ったメンバーが、流血によらず、政府への不信感を国民に
抱かせることだ。彼らの任務は、レモン三個をスーパーに置いてくるなど
一見奇妙なものだった。優秀な遂行ぶりにもかかわらず、引き起こされた
思わぬ結果とは。テロ組織の正体は。
そして彼らの運命を握る第四のメンバーの正体は―。
本格推理とテロリズムの融合!


変わったシチュエーションでのミステリです。
反政府のテロリスト(普段は一般人、武装テロではない)達の話です。

ほんのいたずら程度と思われる任務とその意味を類推するTURNⅠ
他人の人生を巻き込む任務に、許される範囲での抵抗をするTURNⅡ
組織と個人の綻びが大きくなってしまったTURNⅢ
をテロリスト三人の視点からそれぞれ描きます。

そして最終話、TURNⅢ Mission:9の展開は凄かった。

相変わらずの石持作品で登場人物たちは考えては議論します。
これが持ち味なのでここがめんどくさいと感じると
この作者の作品は殆どダメになりそう。
ありがたいことに私はこの展開がものすごく気に入っています。

あー面白かった。

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トラップ・ハウス

『トラップ・ハウス』
石持浅海
トラップ・ハウス (光文社文庫)
トラップ・ハウス (光文社文庫)


大学卒業を間近に控えた本橋大和は、級友たちと車2台に分乗し、郊外の
キャンプ場に出かけた。先乗りしたはずの幹事の姿は見えないが、チェッ
クイン済みのトレーラーハウスに向かう。見慣れない宿泊施設に興奮した
九人全員が中に入って、そのドアが閉まったとき、復讐劇の幕が開いた。
はたして彼らは、生きてここから出られるのか!?。


閉じ込められたトレーラーハウス内での物語。
かなりクセがありアンチ石持派には狙われそう。
狭いトレーラーハウス内での9人の行動なので
犯人の狙いどうりの順番にいかないだろう、とか、
議論がうっとうしいとか、
登場人物が冷静すぎるとか、
動機が強引とか。

そこをひっくり返すとこれまた如何にも石持さんらしい作品でした。

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面白いけど、初めて読む石持作品はこれでないほうが良さそう。

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八月の魔法使い

『八月の魔法使い』
石持浅海
八月の魔法使い (光文社文庫)
八月の魔法使い (光文社文庫)


洗剤メーカー・オニセンの役員会議で、報告されていない「工場事故報告
書」が提示され、役員同士が熾烈な争いを始めた。同じころ経営管理部員
の小林拓真は、総務部の万年係長が部長に同じ報告書を突きつけるのを目
撃。たまたま役員会議に出席し騒動に巻き込まれた、恋人の美雪からの
SOSも届く。拓真は限られた情報だけで“存在してはいけない文書”の謎
に挑む。


面白い。
意図的に混入されたプレゼン資料内の「工場事故報告書」。
プレゼン中の役員会議室での騒動とその首謀者と思われる人物との戦い
(といっても推理)。
全く動きのない構図なのになぜこんなに面白いんだろう。
主人公もサラリーマンなので、保身のためもあり特定の人物を批判しない
よう発言に気を配ったり、またそこを評価されたり。

互いに足を引っ張り合う役員たちを描く企業小説であり、そして何より
ミステリとしての面白さ、そしてサラリーマンという枠の中でも変わっ
ていく主人公の動向。
さわやかな読後感もいい。

いいのを読んだ。

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君の望む死に方

『君の望む死に方』
石持浅海
君の望む死に方 (祥伝社文庫)
君の望む死に方 (祥伝社文庫)


余命六カ月―ガン告知を受けたソル電機社長の日向は、社員の梶間に、
自分を殺させる最期を選んだ。日向には、創業仲間だった梶間の父親を
殺した過去があったのだ。梶間を殺人犯にさせない形で殺人を実行させる
ために、幹部候補を対象にした研修を準備する日向。彼の思惑通りに進む
かに見えた時、ゲストに招いた女性・碓氷優佳の恐るべき推理が、計画を
狂わせ始めた…。


『扉は閉ざされたまま』登場の碓氷優佳が出てきます。
今回は殺されたい男と殺したい男のそれぞれの計画に気付いた碓氷優佳が
その計画をつぶしてしまうというものです。
例えば、外部犯と思わせるために外していた窓の鍵を直しておくとか。

社員研修会(ともう一つの意義)という舞台設定が有効に活用され
それぞれの計画は阻止されていきます。

場合によっては、すれ違い型コメディとして成り立つような設定ですが
碓氷優佳という特異なキャラクターが本作を暗めなものに変えています。

ああ面白かった。
やはり石持浅海はいいなあ。

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この国。

『この国。』
石持浅海
この国。 (光文社文庫)
この国。 (光文社文庫)


一党独裁の管理国家である“この国”は非戦平和を掲げることで
経済成長を遂げた。死刑執行は娯楽となり、国民は小学校卒業時に
将来が決められ、士官学校は公務員養成所と化し、政府が売春宿を
管理する。そんな国の治安警察官・番匠と、反政府組織の稀代の戦略家
・松浦―ともに「この国のため」に知力の限りを尽くす二人の、
裏の裏を読み合う頭脳戦を活写した傑作!


連作短編集でいずれも治安警察官である番匠が登場します。
戦略家・松浦との頭脳戦を描く1話目「ハンギング・ゲーム」と
最終話「エクスプレッシング・ゲーム」が特に良いです。
頭脳戦ではありますが対テロリストとの戦いでもあり
アクションシーンも派手にかましています。

本作では一党独裁の”この国”側の視点で描かれますが
平和であり経済成長をとげているという背景もまぜ
各編の動機につなげるあたりはさすが石持浅海先生といったところです。

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ガーディアン

『ガーディアン』
石持浅海
ガーディアン (光文社文庫)
ガーディアン (光文社文庫)


幼時に父を亡くした勅使河原冴は、ずっと不思議な力に護られていた。
冴が「ガーディアン」と呼ぶその力は、彼女の危険を回避するためだけに
発動する。突発的な事故ならバリアーとして。悪意を持った攻撃にはより
激しく。では、彼女に殺意を抱いた相手には? 


危険を回避するためだけに発動する「ガーディアン」という設定の元での
推理劇です。

「ガーディアン」によって死んだ職場の同僚。
殺意を抱かれるほどの関係性はないはずなのになぜ死んだ。
この問題を考え考え物語は進んでいきます。
こういった状況での理にかなった答えを推論していく様は面白い。
まさに石持さんの特徴が出ている作品です。

続く第2部では同じ能力を授かった冴の娘が強盗の人質となります。
「ガーディアン」の能力に気づく強盗のひとりとの頭脳戦になり
これも面白い。(人が死にすぎるけど)

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顔のない敵

『顔のない敵』
石持浅海
顔のない敵 (光文社文庫)
顔のない敵 (光文社文庫)


1993年、カンボジア。NGOのスタッフが地雷除去作業をつづける
荒れ地に、突然の爆発音が轟いた。立入禁止区域に、誰かが踏み入った
のだ。頭部を半分吹き飛ばされた無惨な死体。
これは、純然たる事故なのか、それとも――。
表題作のほか、本格の旗手・石持浅海の原点ともいうべき「対人地雷」
ミステリー全6編と、処女作短編で編まれた第一短編集


顔のない敵・・・対人地雷をテーマにした短編ミステリです。
軽く扱うには重すぎるテーマを持ちながらも、
ミステリとしての楽しさを放棄していない大変素晴らしい短編集です。

石持作品では動機がありふれてものではなく、
本作でもテーマがそうであるためか加害者側に優しい?

デビュー作「暗い箱の中で」も収録されており
本短編集のカラーを崩してはいるものの中味はやはり良い。
閉ざされたエレベーター内での殺人。
閉じた場所、真犯人を見つけるための対話、真犯人と事件の理屈。
石持作品ってこんな感じって説明するのにもあっていそう。

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Rのつく月には気をつけよう

『Rのつく月には気をつけよう』
石持浅海
Rのつく月には気をつけよう (祥伝社文庫)
Rのつく月には気をつけよう (祥伝社文庫)


湯浅夏美と長江高明、熊井渚の三人は、大学時代からの飲み仲間。
毎回うまい酒においしい肴は当たり前。そこに誰かが連れてくるゲストは
定番の飲み会にアクセントをつける格好のネタ元だ。
今晩もほら、気持ちよく酔いもまわり口が軽くなった頃、
盛り上がるのはなんといっても恋愛話で……。
ミステリーファン注目の著者が贈る傑作グルメ・ミステリー!


軽妙なスタイルのミステリ短編集です。
おいしいお酒においしい肴、これに恋愛話絡むちょっとし謎。

読後感もよく寝る前に読むのにちょうどいいかも。

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最終話にちょっとしたサプライズがありますがそこもいい雰囲気です。
なぜか最初から読み違えをしていた私はサプライズ度が少なかったのが
ちょっと残念でした。
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セリヌンティウスの舟

『セリヌンティウスの舟』
石持浅海
セリヌンティウスの舟 (光文社文庫)
セリヌンティウスの舟 (光文社文庫)


大時化の海の遭難事故によって、信頼の強い絆で結ばれた6人の仲間。
そのなかの一人、米村美月が、青酸カリを呷って自殺した。
遺された5人は、彼女の自殺に不自然な点を見つけ、
美月の死に隠された謎について、推理を始める。
お互いを信じること、信じ抜くことを、たったひとつのルールとして。
メロスの友の懊悩を描く、美しき「本格」の論理。


自殺した友人のその動機を探っていくという小説。
話し合いにより動機を探っていくという展開のみの物語なので
大きな山場は無いもののあれこれ推論していくさまは読み応えあり。
ただし動機については美しくまとまっているものの
実際こんな動機があり得るのか?というのはこの作者ならでは。
(私は問題ない。むしろこの作者の提示する動機はいつでも驚く)

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さて、セリヌンティウスってメロスを信じ待ち続ける方の人でした。
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人柱はミイラと出会う

『人柱はミイラと出会う』
石持浅海
人柱はミイラと出会う (新潮文庫)
人柱はミイラと出会う (新潮文庫)


【人柱】城などの難工事の際、完成を祈願し、
神への生贄として生きた人を地中や水底に埋めること――
留学生のリリーは、工事現場からミイラが発見されるという、
奇怪な殺人事件に遭遇する。その死体から浮かび上がる、
この国の信じられない風習とは……
人柱に黒衣に参勤交代。
江戸の風俗がいまだ息づくパラレル・ワールドの日本を舞台に、
石持流ロジックが冴え渡る傑作ミステリ!


人柱、黒衣、お歯黒、厄年、鷹匠、茗荷、参勤交代、という文化が
形を変えながらも実生活に息づくという日本を舞台にした連作です。

これらの特殊な事情下ならではの状況でおこる事件を
人柱を職とする青年が謎解きします。

我々とは異なる日本文化が前提ですので、読者も留学生リリーと一緒に
なぜそんな文化があるの、というところから読み進めます。

派手さは全くないですが変わった趣向のクセのあるミステリです。

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