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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

巨船べラス・レトラス

『巨船べラス・レトラス』
筒井康隆
巨船ベラス・レトラス
巨船ベラス・レトラス


売れさえすれば作者を潰したっていいというのか。
人間を使い捨てにする企業の論理か。
そんな若いやつの小説、受賞した時だけその受賞した本が売れるだけの
ことじゃねえか。
今の状況がなんでも正しいというんなら、
なんでもうすぐ世界が滅びるってことを認めて、それを書かないんだ。
それが現在の文学者のやるべきことじゃないのかい。
現代日本文学の状況を鋭く衝く戦慄の問題作。


裏表紙の
出版界騒然!文壇慄然!読者は呆然!
にグッときました。

2007年の作品ですが、全く知りませんでした。
断筆宣言(もはや知らない人も多いのでは)以降の作品とは
結構疎遠だったので・・・・。

小説(ここではエンターテインメントとは区別)、出版界、作家
をテーマにした作品です。

実験的手法を何度も使用してきた著者だけに、
句点がやけに少ない文章。
人物視点転換でも行を開けない。
登場人物の作家とその作家の小説内登場人物が共存。
「筒井康隆」も登場。
なんてものに驚いてはいけません。

しかしなんだかわからない面白さと小説論があり面白かった。

(売れない)同人誌作家による出版界への恨みつらみ。
ベテラン人気作家達や出版関係者の前衛小説へ想い。
なにやら深いものがありそうですが本作自体は読みやすかったです。

しかし後半の「筒井康隆」の登場とその目的はすごい。
なんなんだあの部分は。

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登場人物の説明に

ホラーを革新的に脱臼させて人気絶頂の作家

とあるがこれも脱臼モノの表現だ。

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怪笑小説

『怪笑小説』
東野圭吾
怪笑小説 (集英社文庫)
怪笑小説 (集英社文庫)


年金暮らしの老女が芸能人の“おっかけ”にハマり、乏しい財産を使い
果たしていく「おつかけバアさん」、“タヌキには超能力がある、UFOの
正体は文福茶釜である”という説に命を賭ける男の「超たぬき理論」、
周りの人間たちが人間以外の動物に見えてしまう中学生の悲劇
「動物家族」…etc.ちょっとブラックで、怖くて、なんともおかしい人間
たち!多彩な味つけの傑作短篇集。


『怪笑小説』『毒笑小説』『黒笑小説』『歪笑小説』を、
こらえきれずに一気に購入してしまった。
一般的な東野作品はそれほど読んではいないのに。

「鬱積電車」
電車内で誰もが誰かに対して思う負の感情がたっぷり。そしてラストは
大変なことが起こりそう、というところで終わる。

「おっかけバアさん」
芸能人の”おっかけ”に目覚めるバアさんの話。とにかくパワフルで
話が暗くならない。

「一徹おやじ」
こどもを野球人に育てようとするおやじの話。わりあい順調にその道に
進んでいくがラストは別の道だった。

「逆転同窓会」
生徒の同窓会に先生を呼ぶのでなく、先生の同窓会に生徒を呼ぶ。
ラストはほろ苦いがうなづける。これは大傑作か。

「超たぬき理論」
UFOは文福茶釜である。いい加減そうだが、所謂ビリーバーとのUFO
討論だとこちらに分があるのも面白い。

「無人島大相撲中継」
大相撲実況を完璧に再現できる男をめぐる話。孤立してしまった無人島で
の娯楽として最高。

「しかばね台分譲住宅」
見知らぬ死体を互いの陣地になすりつけあう二つの分譲住宅群。
腐っていく死体の描写はえぐくなっていくがオチは秀逸。

「あるジーサンに線香を」
若返ってそしてまた老化していくジーサンの日記。アレのパロディだが
こちらはこちらで哀しい。

「動物家族」
親でも兄弟でも学校でもその特徴が分かると動物に見えてしまう中学生。
笑いはなくひたすら暗い。筒井康隆の影響を感じる。

ということで全体において
筒井康隆をむさぼり読んだ時のような感覚を得た。
面白い。

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座敷ぼっこ

『座敷ぼっこ』
筒井康隆
座敷ぼっこ (ふしぎ文学館)
座敷ぼっこ (ふしぎ文学館)


「遠いなぁ…」ロマン豊かに描く老教師の望郷の想い、ノスタルジィに
満ちた表題作「座敷ぼっこ」をはじめ、下水道に生きる白い猫たちと、
怪物バクーとの命がけの死闘「群猫」、人格を持ったロボット車との
切ない別れを、軽妙なタッチで描く「お紺昇天」など、初期の名作から、
近年の著者自信作「夢の検閲官」、さらに単行本未収録の最新作
「家族場面」まで、全作品から厳選したセンチメンタルSF・全25篇。
筒井康隆の、詩情あふれる傑作を集大成した異色の短篇集。


筒井康隆だ。
新潮社の筒井康隆全集を買いそろえた筒井康隆だ。
多くのツツイスト同様に実験性のある作品を求めていっていたので
本作収録のような抒情的な作品のことは忘れがちになっていました。

「座敷ぼっこ」
「お紺昇天」
「夢の検閲官」
「かくれんぼをした夜」
などなど

いいなぁ・・・

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言霊たちの反乱

『言霊たちの反乱』
深水黎一郎
言霊たちの反乱 (講談社文庫)


平和な休日、婚約者が突然怒り狂う。路上では外国人に殴られ、ファミレ
スでは麻薬取引現場に遭遇。ついには凶悪テロの首謀者として手配される
羽目に。原因は全て言葉の聞き間違いと勘違いだった。いにしえの人々が
崇敬し畏怖した言葉に宿る「霊力」が現代人を陥れようとしているのか?
驚愕の言葉トリック・ミステリに震えよ!


まず言葉トリック・ミステリって何?これミステリではないよなあ。
まあ各短編が互いに関連づく仕掛けとか意味の分からなかったところが
後に(場合によっては別の短編で)わかるところなどはミステリ作家魂
炸裂といったところでしょうか。

各編言葉をテーマにしたギャグ小説ですがにやにや笑いっぱなしでした。
筒井康隆氏を思わせるハイブローな中身でした。

・漢は黙って勘違い
聞き間違えばっかりする男が巻き込まれる騒動ですが、何を何に聞き間
違ているのかいちいち説明していないので読んでるほうで気づかない部
分も多々ありそうです。ミステリでいえば伏線だらけです。

・ビバ日本語!
外国人に日本語を教える日本語講師の話ですが、この人も聞き間違い、
勘違いが多い。無数に仕掛けられたギャグを全部読み切れていないだろ
うなあ。ちなみに生徒に質問されて分からない場合は”東洋の神秘”と答
えます。

・鬼八先生のワープロ
ある特定分野の言葉を学習している鬼八先生のワープロ。
畳みかけてくるスピード感と次第に解放されていく主人公がいい。

・情緒過多涙腺刺激性言語免疫不全症候群
こりゃタイトルからしてツツイ的です。
感動をあおるようなありふれた表現を聞くと狂暴化していく男の話。
マスコミをテーマにしたり、次第にエスカレートしていく展開はまさに
筒井康隆。

ああ面白かった。

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モナドの領域

『モナドの領域』
筒井康隆
モナドの領域


著者自ら「わが最高傑作にして、おそらくは最後の長篇」と宣言する究極
の小説、ついに刊行! 河川敷で発見された片腕はバラバラ事件の発端と思
われた。美貌の警部、不穏なベーカリー、老教授の奇矯な振舞い、錯綜す
る捜査……。だが、事件はあらゆる予見を越え、やがてGODが人類と世界
の秘密を語り始める――。
巨匠が小説的技倆と哲学的思索の全てを注ぎ込んだ 超弩級小説。


モナドとは作中のGODによればプログラムなんていってました。
早速ウィキペディアでみてみると

プログラミング言語の意味付けにおける完備な意味領域をモジュール性を
持たせた形で分割するための枠組み、ということでGODは枠組みの意で
使用していました。
またライプニッツくんが提唱した哲学上の概念でもあります。

本作とは関係ないけど細野晴臣のレコードレーベル名でもあります。

河川敷で発見された片腕、その片腕を造形したかのようなバケットを売る
ベーカリー、黒目がふらふらと泳ぐ老教授、それらを捜査する美貌の警部
と前半は妖しい雰囲気満載で期待が高まります。
これは絶対、世界が破滅するようなストーリーに違いあるまい!

次章から、これらの事件は老教授に憑依した<神>の存在であることが
わかり、以降はこの<神>GODとの哲学的対話が続いていきます。

そして最後はGOD出現の理由や各事件は世界の綻びを修正するためと
語られ、GODの記憶と記録が抹消され元とはちょっとだけ異なる日常へ
戻っていきます。

ストーリー的には大きな波もなく淡々とした流れで終わってしまい、
また登場人物も悪人が出てこなくこれでいいのか?なんて思ってしまう
ところもあります。
しかし全体的に非常に読みやすく哲学的問答もGODにより平易な言葉で
語られるのでなんかいい感じです。

多元宇宙やパラフィクションなどというキーワードをまぶしつつも
この哲学的思索が本書のキモなんでしょう。ちょっとムズカシイところ
だらけなのですが是非改めて読み返してみたい作品でした。

まだまだ私には語れない。

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実は新潮社の筒井康隆全集を全巻持ってるのが自慢です。
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