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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

東京ドヤ街盛衰記

『東京ドヤ街盛衰記』
風樹茂



かつては日雇い労働者の寄せ場だった山谷は、いま生活保護受給者の
たまり場となってしまった。毎月五億円の生活保護費がドヤや貧困
ビジネス業者の懐に流れ込んでいく。昭和三〇年代のはじめに山谷に
流れ着き、今世紀初めに死んでいった男の半生に託して山谷の変貌を
描き出す。


こういった地区には下世話な興味を引き立てられてしまいます。
良くないことかもしれないのですが地区の特殊性が気になります。
しかし本書は下世話な興味を煽るような本ではなかったです。
この地区で知り合った一人の老人に焦点をあて彼の人生を追っています。

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東京自叙伝

『東京自叙伝』
奥泉光



舞台は東京。地中に潜む「地霊」が、歴史の暗黒面を生きたネズミや
人間に憑依して、自らの来歴を軽妙洒脱に語り出す。唯一無二の原理は
「なるようにしかならぬ」。明治維新、第二次世界大戦、バブル崩壊
から福島第一原発事故まで…首都・東京に暗躍した、「地霊」の無責任
一代記!史実の裏側で滅亡へ向かう東京を予言する。
果てしないスケールで描かれた第50回谷崎潤一郎賞受賞作。


東京の「地霊」がそれぞれの年代で乗り移った人物の行き様を語る、
というスタイルです。時代は幕末から正に今まで。
この「地霊」は基本的には多数の鼠や生物に憑いているが、
時折人間にその意識の集合体が憑依するようで、
本作では六人の人物としてその人生を語ります。
面白い事にその意識は同時に複数の人物と共有されていたり
鼠と人間同時に憑依していたりする。

さてこの六人ですが悪いやつらばかりで
ここで語られるエピソードも悪どいものが多いのですが、
”彼には気の毒な事をしました”
と言って結ぶあたりどうにも可笑しい。
各エピソードが短く、表題もついており読む方は区切りが付きやすく
大変読みやすい。
(会話文もなく改行も少なく余白部分が少ないのですが読みやすい。)

各人物の視点を借りて東京の歴史を描くという試み。
しかも基本的には視点は「地霊」一人。
六人の人間を介するとしても語り口は常に「地霊」のソレ。
やたらと饒舌で悪いこともいけしゃあしゃあと語ります。
ここらへん奥泉さんの特有の文体なのかもしれません。

ラストの人物が語るのは現代なのですが
ここでは東京の未来を暗示するような世紀末的な世界が見え隠れします。
最後、この人物が傷害事件を起こし責任能力を問われる場面で
責任能力は持っているということを言うために今までの語りがあった、
というような構造になっています。
全てこの人物の頭の中の物語だったともとれるエンディングでした。

なんだかわからないが面白くてついつい読んでしまったという
不思議な作品でした。

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東京百景

『東京百景』
又吉直樹
東京百景 (ヨシモトブックス)


ピース・又吉直樹、すべての東京の屍に捧ぐ。
「東京は果てしなく残酷で時折楽しく稀に優しい」
いま最も期待される書き手による比類なき文章100編。自伝的エッセイ。


『火花』を読んでいない。
しかしエッセイは読んでいる。

どのエッセイでも自虐的(といってもキツクない)な部分に
自分でも驚くほど共感できます。

なにかと強い人、との距離感。
他人の心に侵入してくるある種の人々への恐れ。

これらがしみじみと、そして可笑しみを持って語られます。

エッセイが基本なんでしょうが想像の羽を伸ばした幻想的な小説もあり
とても楽しめた本でした。

100話に決まった長さもフォーマットもなく、好きに書けるというのが
この面白さにつながったのかもしれません。

「池尻大橋の小さな部屋」は実体験なのか恋愛小説なのか
ちょっとやられてしまいました。泣きそう。

『火花』を読みたくなった。

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本の装丁も昔の本っぽくて好み。
やるな。ヨシモトブックス。
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