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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

鳥類学者のファンタジア

『鳥類学者のファンタジア』
奥泉光



「フォギー」ことジャズ・ピアニストの池永希梨子は演奏中に不思議な
感覚にとらわれた。柱の陰に誰かいる……。それが時空を超える大冒険
旅行の始まりだった。謎の音階が引き起こす超常現象に導かれフォギー
はナチス支配下、1944年のドイツへとタイムスリップしてしまう――。
めくるめく物語とジャズの魅力に満ちた、ファンタジー巨編。


700頁を超す大作です。
スピーディーで息をつかせぬ展開といった作品ではないので意識して
ゆっくり読みました。一文一文の面白さを味わいながら読む、といった
感じです。
そんなわけでフォギーと1か月以上の長い旅を楽しむことが出来ました。

いろいろな楽しみ方があると思いますが、グッと来た部分は下記。

「いま」だと思った瞬間には、もうスタートを切っているスルドイ反射
神経、および緻密な計算に裏打ちされた大胆な無神経こそがジャズ・プ
レイヤーの真骨頂なのだ。

またラスト近くのフォギーとジャズメンの演奏場面の描写は震えがくる
ほどです。

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ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3

『ゆるキャラの恐怖 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活3』
奥泉光



クワコーこと桑潟幸一准教授が、たらちね国際大学に転勤して最初の夏
休み。低偏差値大学の「受験生応援プログラム」というリクルート大作
戦の一環として、ティッシュ配りにあけくれていたクワコーへの、次な
る指令は?「ゆるキャラの恐怖」…大学対抗ゆるキャラコンテストに着ぐ
るみで出場せよ。審査委員長はみうらじゅん、「おそろしき事がおこる
ぞよ」との脅迫状が届いて…。「地下迷官の幻影」…セミの次はキノコ
だ!理想の食材を求めるクワコーは、エロナマズ大王に恫喝され、学園に
渦巻く権力闘争の暗流に巻き込まれる。文壇のマエストロの脱力系ミス
テリー!


面白かった。
一文一文の面白さでグイグイ読ませるヘンな小説です。
なぜ今ゆるキャラを取り上げているのかはわかりませんが
それだけでなくみうらじゅんネタも織り込まれ楽しい。

田所香苗准教授についてのシーンが好きです。

何か言った後に必ず、独り言というか、芝居で云う傍白ふうの文句がくっ
ついてくるのが怪しい。いまも「着ぐるみ、突貫工事でなんとかぎりぎ
り間に合いました」とクワコ―に報告した後に、「トッカンコージって
古っ!黒部の太陽かよ、って、それを知る拙者も昭和な女?」とつく。


たらちね国際大唯一の男子モンジの台詞もみょうちくりんででオカシイ。

台詞だけ見るとクワコ―が一番まともなのもおかしい。

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テイストがちょっと違う『モーダルな事象 桑潟幸一助教授のスタイリ
ッシュな生活』がやはり一番好きなんですけどこれも面白い。
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小説の聖典 漫談で読む文学入門

『小説の聖典 漫談で読む文学入門』
いとうせいこう×奥泉光



初心者のための小説の読み方・書き方、教えます。
小説の不思議な魅力を、稀代の作家二人が漫談スタイルでボケてツッコ
む。“書くことに先立って頭に浮かぶアイデアは「基本的に陳腐」だと
知るべし”“「素直」を憎み、「ノイズ」を寿げ”―文学とは?物語とは?
スリリングな掛け合いの中にためになる金言が満載の文学入門書。


奥泉さんのボケにいとうさんがツッコむ。
いとうさんはあたかもみうらさんとのやりとりのような感じ。
ということで奥泉さんのボケが激しい。こんな人だったんですね。

中身は真面目な文学論でほとんど理解できないが、
お二人の小説に向き合う姿勢などが垣間見えて良かった。
それでもボケる奥泉さんにはやられました。

幾度となく「世界の中心で愛をなんちゃら」を二人でからかっているのが
印象に残る。

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東京自叙伝

『東京自叙伝』
奥泉光



舞台は東京。地中に潜む「地霊」が、歴史の暗黒面を生きたネズミや
人間に憑依して、自らの来歴を軽妙洒脱に語り出す。唯一無二の原理は
「なるようにしかならぬ」。明治維新、第二次世界大戦、バブル崩壊
から福島第一原発事故まで…首都・東京に暗躍した、「地霊」の無責任
一代記!史実の裏側で滅亡へ向かう東京を予言する。
果てしないスケールで描かれた第50回谷崎潤一郎賞受賞作。


東京の「地霊」がそれぞれの年代で乗り移った人物の行き様を語る、
というスタイルです。時代は幕末から正に今まで。
この「地霊」は基本的には多数の鼠や生物に憑いているが、
時折人間にその意識の集合体が憑依するようで、
本作では六人の人物としてその人生を語ります。
面白い事にその意識は同時に複数の人物と共有されていたり
鼠と人間同時に憑依していたりする。

さてこの六人ですが悪いやつらばかりで
ここで語られるエピソードも悪どいものが多いのですが、
”彼には気の毒な事をしました”
と言って結ぶあたりどうにも可笑しい。
各エピソードが短く、表題もついており読む方は区切りが付きやすく
大変読みやすい。
(会話文もなく改行も少なく余白部分が少ないのですが読みやすい。)

各人物の視点を借りて東京の歴史を描くという試み。
しかも基本的には視点は「地霊」一人。
六人の人間を介するとしても語り口は常に「地霊」のソレ。
やたらと饒舌で悪いこともいけしゃあしゃあと語ります。
ここらへん奥泉さんの特有の文体なのかもしれません。

ラストの人物が語るのは現代なのですが
ここでは東京の未来を暗示するような世紀末的な世界が見え隠れします。
最後、この人物が傷害事件を起こし責任能力を問われる場面で
責任能力は持っているということを言うために今までの語りがあった、
というような構造になっています。
全てこの人物の頭の中の物語だったともとれるエンディングでした。

なんだかわからないが面白くてついつい読んでしまったという
不思議な作品でした。

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シューマンの指

『シューマンの指』
奥泉光



音大のピアノ科を目指していた私は、後輩の天才ピアニスト永嶺修人が
語るシューマンの音楽に傾倒していく。浪人が決まった春休みの夜、
高校の音楽室で修人が演奏する「幻想曲」を偶然耳にした直後、
プールで女子高生が殺された。その後、指を切断したはずの修人が
海外でピアノを弾いていたという噂が……。


圧倒的な音楽小説(というジャンルがあるのかわかりませんが)です。
ほぼ全編を通してシューマンの作品の意義や演奏というものについて
語られます。
シューマンはもとよりクラシック全般に疎いですが
過剰に装飾された文章によって説明される(主人公たちの主観とはいえ)
シューマンの作品に興味がわいてきました。
ぜひ音楽そのものを聴き、この作品での説明がどのようなものか
確認したくなりました。
本当は演奏を聴くのでなく、楽譜から音楽を理解しなければならない
ようですが・・・。

さて物語の半分を超えたあたりで、殺人事件が起こり
ミステリっぽい流れになっていきました。
もともとミステリとして読もうと思っていなかったのですが
最後に”手紙”形式で物語を終わらせるといったミステリ意匠が嬉しい。
意外な展開となりやはりこれは奥泉ミステリでもありました。

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