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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

モーダルな事象—桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活

『モーダルな事象—桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 』
奥泉光
モーダルな事象―桑潟幸一助教授のスタイリッシュな生活 (文春文庫)


大阪のしがない短大助教授・桑潟のもとに、
ある童話作家の遺稿が持ち込まれた。
出版されるや瞬く間にベストセラーとなるが、
関わった編集者たちは次々殺される。
遺稿の謎を追う北川アキは「アトランチィスのコイン」と呼ばれる
超物質の存在に行き着く…。
ミステリをこよなく愛する芥川賞作家渾身の大作。


600頁近くある大作です。
会話等での改行が少なく、文字がびっしり詰まっています。
簡単に読み切れないのでは、との思いが頭をかすめますが
パラパラとめくると新聞の切り抜きを模したページがあったり
書体が太字になっている箇所があったりと
こういう部分にどうにも惹かれます。

さて読み始めてみると個々のエピソードが面白かったり
比喩が巧みだったりと読むのが全く苦になりません。
読んでいる最中に感じたのは、安部公房、筒井康隆、
あるいは井上ひさしの「吉里吉里人」あたりで得られた感じに
近いというもの。
最近あまり読んでいなかったこの雰囲気。
もう満足です。

知られざる童話作家の遺稿から始まる殺人事件。
この以降の紹介者である桑潟助教授(なにかとダメな男)のパートと
ライター兼歌手の北川アキとその元夫のパートが交互に描かれます。
通常のミステリとして謎を追っていくのは北川パート。
桑潟パートは、事件の根底につながる幻視的な描写も入り
物語をある種の妖しい雰囲気を醸し出します。
なんとなくアンチミステリという言葉も思い起こしてしまいました。
(これもやはり嬉しい部分です)

北川パートでの事件真相に迫る部分と、
終盤に登場人物が交叉し繋がっていく様は
ミステリの楽しさを十分味わえるものでもあります。

通奏低音で流れるは黒い笑いに溢れたレトリックに満ちた文章。
本当に面白い本でした。

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