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茶の間の自由 ~チャンスも経験もいらない~

ビートルズ プログレ ミステリ 近辺の話題と浅い話を繰り出します

ロートレック荘事件

『ロートレック荘事件』
筒井康隆



夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘
たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンス
が始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。
一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か?アリバイを持たぬ
者は?動機は?推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。
前人未到のメタ・ミステリー。


作品紹介にメタ・ミステリーと記載があるので
そういう作品である事を前提としたレビューです。
昔一度読んでいるので、こういうネタだったのではないかと
思い出しながら読んでいたのですが、それよりはシンプルでした。
私はもっととんでもないネタだとと記憶していたのですが
それこそ前人未到のまだ誰も書けえなかったメタ・ミステリーだと。

さて本作かなり初期のメタ・ミステリーではあるようで、
いま色々なメタ・ミステリーを読み込んでいる読者だと、
本作についてそれほど大したことないなと感じてしまうかもしれません。
またミステリを読みなれていない読者ならアンフェアだと怒るでしょう。
ここがジレンマで、メタだとわからせる紹介文はそれだけで驚きを半減
させてしまうし、逆にそれをしないと手に取ってもらえないかもしれぬ。
また”メタ”は先行作品を下敷きにしてさらにパワーアップしていく形態
なので、後発で驚くと先行は弱い。
いろいろ難しいものです。

あっ、作品に話を戻すと、筒井さんはフェアであろうとするためか
これはメタ作品の可能性があることを読者に匂わせる展開をしており
当時は一般的でなかったこの形態を丁寧に取り扱っています。
それは後半の真犯人の告白に現れる注記(何ページの何行が該当か示す)
にあるように作品の仕掛け部位を丁寧に掲示しています。
いまではこんなことは無いのでしょうが当時はこうでもしなければ
メタの仕掛けを理解しない人は全くちんぷんかんぷんのまま
読了してしまったのかもしれませんね。

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さて、本書、仕掛けがわかった時点で、序盤に出てくる
”ロートレック荘2階平面図”を必ず確認してしまうと思うのですが
これは巧い。よく考えるとフェアだ。考え抜かれています。
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メタ漫才

この年末年始は異様にTVを見ていました。特にお笑い番組。しかもネタ
番組。やはり芸人。MCやひな壇でしか見ない芸なき芸人たちを哀れに
思ってしまうほどの風格さえ感じる人たちでした。

そんな中、ネタを見ていてふと「メタ漫才」という言葉が頭に浮かんでき
ました。全く自分の中で浮かんだ言葉ですが念のため「メタ漫才」で検索
すると結構な記事がヒットしました。やはり同じことを思う人は多かった
んだなあ。もしかすると一般的に認知されてしまっている言葉なのか?

”メタ”とはメタフィクションとかメタ・ミステリとかで使用するあのメ
タです。枠を超えたり壊したりする構造といったところでしょうか。


例えばこんなところで「メタ漫才」を感じました。


「ネタは全部私一人でつくってるんですよ。こいつは何にもしないで」
「そんなこというなよ」
「”そんなこというなよ”も私が作った台詞」


「こんにちは○○です。最近××にハマってまして。」
「じゃあ早速××の役をやるよ」
「まだ早いよ」


片方がボケた後、
「俺ネタ知ってるから面白くないよ」


いかにも昔の漫才のようなボケをしたあと
「それ、ベテランのやつ」


漫才の枠組みの上の視点からの台詞になっていました。昔からあったのか
も知れませんが今回非常に印象に残りました。判りやすくいうとメタです
よね。

そういえば30年くらい昔、オール阪神・巨人の漫才で

巨人「・・・ネタ忘れた!」
阪神「・・えー。只今の漫才について解説します。相方がネタを忘れたの
で本日の漫才は中止!」
巨人「思い出した」

ってのがあり、これはハプニングだったのかもしれませんが非常にその展
開に感心し未だに覚えています。これも今思うとメタだなあ。
どうも私は昔からこういうのが好きだったようです。


さてメタ手法というと何と言ってもメタ・ミステリですが、ミステリでの
”伏線回収”もっ現代漫才の手法に使用されている気がします。最初なん
のためにいったかわからない中途半端な台詞が後半の笑いのまさに伏線に
なっていたりします。こういったことを考えてしまう事自体、漫才はミス
テリに接近しているのでは。

そのうちメタ漫才だけでなく、
漫才十戒
叙述漫才
倒叙漫才
後期漫才問題
漫才講義
一人二役漫才
バールストン漫才法
安楽椅子漫才
演繹漫才帰納漫才
雪の山荘漫才
読者への挑戦漫才
見立て漫才
プロバビリティの漫才とかいろいろ出てきそうです。

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プロバビリティの漫才・・・ちょっと気に入ってます。
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栞子さんの本棚


『栞子さんの本棚』
栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック (角川文庫)
栞子さんの本棚  ビブリア古書堂セレクトブック (角川文庫)

「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズの作品中で紹介されている作品を
セレクトした1冊です。
「ビブリア~」はメディアワークス文庫なのにこれは角川文庫。
どういう事なんだろう。
表紙イラストはメディアワークスのオリジナルと同じ人だし。

収録下記(※は抜粋)
※「それから」夏目漱石
「ジュリアとバズーカ」アンナ・カヴァン
「落穂拾い」小山清
※「サンクチュアリ」ウィリアム・フォークナー
※「せどり男爵数奇譚」梶山季之
「晩年」太宰治
※「クラクラ日記」坂口三千代
※「蔦葛木曽棧」国枝史郎
※「ふたり物語」アーシュラ・K・ル・グイン
「たんぽぽ娘」ロバート・F・ヤング
※「フローテ公園の殺人」F・W・クロフツ
※「春と修羅」宮沢賢治

「たんぽぽ娘」(再読ですがこれはいいね)以外は読んだことなし。
漱石も太宰も読んでいないのです。

「それから」
抜粋だけでもなんか良さそうな雰囲気がありました。

「落穂拾い」
これはビブリア・シリーズでも初期に出てきて、ずっと気になっていた
作品です。いい読後感です。暖かい。

「せどり男爵数奇譚」
これは抜粋(導入部?)だけでも読めてよかった。是非全部読みたい。

「晩年」
よくわからないが作品集「晩年」の一篇「道化の華」って事でしょうか。
すごいのは物語中に作者が入り込んでくるというメタ構造。
太宰治ってこんなこともしていたんですね。

「クラクラ日記」
坂口安吾の妻の随筆。これ楽しい。しかもいい味。上手い。

「フローテ公演の殺人」
これは読み飛ばし。だってミステリの抜粋でしかもクロフツ。


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しかし角川もうまい企画考えたモンですなあ。


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麗しのオルタンス

麗しのオルタンス (創元推理文庫)麗しのオルタンス (創元推理文庫)
(2009/01/28)
ジャック ルーボー

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『麗しのオルタンス』

金物屋が次々に襲われ、深夜0時直前、大音響とともに鍋が散乱する。
平和な街に続く“金物屋の恐怖”事件。
犯人は?動機は?
哲学専攻の美しい女子大生オルタンス、事件担当のブロニャール警部、
そして高貴な血を引く猫のアレクサンドル・ウラディミロヴィッチ…。
何がどうなる?
文学実験集団ウリポの一員である詩人で数学者の著者が贈る珍妙な味のミステリ…なのか。


という内容ですが
物語の部分はもはやどうでもいい感じで
文章ひとつひとつに仕掛けられる笑いを楽しみましょう。

冒頭しばらくすると
筆者が作中の中で自分たちの説明をし
またそれとは別に物語の語り手が存在することを述べていきます。

ここらへんからかなりヘンな小説であることに
読者は気づいていくわけですが
終盤にはこんどは”読者”が小説への疑問を口出します。

「しかし」、とここで読者の声が上がった。

なんだそれは!

また最終章では
筆者が366冊の小説を読みこんで
そこから得られた最終章の規則を試してみます、なんていっています。

全編こんな風にふざけた展開で
メタフィクション的な面白さに溢れていて
また物語のサブストーリーというか
横道にそれたところでのエピソードも面白いです。

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ちょっと”文学実験集団ウリポ”というものが気になってきたところです。

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ノックス・マシン

ノックス・マシンノックス・マシン
(2013/03/27)
法月 綸太郎

商品詳細を見る


あとがきによれば本書は”「本格」SF”(本格ミステリを主題にしたSF)とのこと。
奇想SF集で大変面白かったです。
扱われるハードSF的な部分はかなり難しくて、もはや理解せずに読み進めていたのですが
奇想の部分と主題である本格ミステリの部分で楽しめました。

「ノックス・マシン」
英国探偵作家ノックスの「ノックスの十戒」の中の
『探偵小説には、中国人を登場させてはならない』とタイムトラベルを組み合わせた作品です。

舞台は未来ですがこの時代には
数理文学解析という学問があり、詩や小説で使われる単語や成句の頻度分析から始まり作品構造の解析を行っています。

ここで先のノックスの”中国人を登場させてはならない”が絡んできます。

SFファンよりも探偵小説ファンが食いつきやすい内容です。


「引き立て役倶楽部の陰謀」
W・ハイデンフェルトの「<引き立て役倶楽部>の不快な事件」を下敷きにした作品。
これはSFではなくメタミステリですね。

引き立て役倶楽部・・・会長がワトソンなのでなんの引き立て役かお分かりでしょう。
引き立て役はおろか名探偵も存在しないアガサ・クリスティのあの有名作に対する議論が行われます。


「バベルの牢獄」
観念的な話のようなので最初の1ページで一回断念したのですが
無理して?でも読んでよかった。

読んだ者だけが味わえるおバカな世界です。
よく映像化不可能とか言いますが映像化どころか電子書籍化不可能。
翻訳も不可。すごいなコレ。
泡坂妻夫さんのあの作品をちょっと思い浮かべました。


「論理蒸発 - ノックス・マシン2」
ノックス・マシンの系譜の作品ですが
こんどはエラリー・クイーン。
「シャム双子の謎」に”読者への挑戦”が入っていないことをネタに
大法螺の吹きまくりです。

しかしよくこんなこと考えつくな、と感動するくらいの大法螺です。
このような凝った作品は大好きなのですが作者の頭の中ってどうなっているんでしょうね。


全部で4篇、充実の一冊でした。

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